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第二章南の島開拓
3.最強コンビ
しおりを挟むアイシャ達が学園で爪はじきにされる最中、アーデルハイドはというと。
「以上になります」
全てを話すと約束し、これまでのことを包み隠さず話した。
その結果。
「よし、そいつらさらし首にしようか」
「止めな」
「殺しても殺したりない!」
普段から温厚な性格のフレディーだが、ここまで怒りを覚えたことはない。
「私は大体の事情は知っていた。でもそこまで悲惨とはね」
「ステラさんは何処までご存意でした?」
「罪人を島流しにするってのは一方的に聞かされたんだ。でも、後は放置でおかしいと思ってね」
島流しを命じたのはモーギュストだが、後は周りの者に押し付けたようだ。
隣国の南の島に流罪にされれば生きていけないだろうと思ったのだが、場所もちゃんと調べていなかった。
「真面な裁判をしたわけでも、逮捕状もないと来た。おかしいと思ってね…」
「そうだったんですか」
「それで、ハイジちゃんの住まいをここにしたんだ」
ある程度村から離れていた方が良いと考えたし、ステラが目の届く範囲なら監視もできると思った。
「でも、アンタを見た時に罪人とは思えなかった」
「ありがとうございます」
「だから私は監視の必要はないと思ったし、アンタが白なら海が、風が祝福してくれる。実際にアンタは祝福を受けた」
この島に限らず辺境地には神の祝福がある。
その祝福を得た人間が極悪人のはずはないと思った。
「その後もアンタは島を豊かにした。豊穣の加護を得ていたんだよ」
「女神と呼ばれたのは嘘ではないな」
「ああ…」
最初から全てお見通しだったステラに頭が上がらない。
「じゃあ…」
「私は詳しく調べなかった。調べる必要が無かったからだ」
早い段階でアーデルハイドを信じていた結果だった。
「フレデリック様は知らなかったのに、惹かれたんだね」
「ああ、どうしても罪人には思えなかった。そうだとしても、俺はハイジと生きたかったんだ」
何も持ってないアーデルハイドを愛したのだから。
「フレデリック様は第二王子だが、既に平民と生きる事を決めている。いいんだね」
「はい、私はもう貴族ではありませんから」
「なら、問題はないね」
アーデルハイドもフレディーの正体を聞いた時は驚いた。
平民にしては身なりがしっかりしているとは思ったが、第二王子だったとは知らなかった。
「俺は今の生活が気に入っているからな。王子ではないが‥兄上がその内会いたいと言っている」
「はい、私も会ってみたいです」
「なら解決だな!島で結婚式をして豚の丸焼きを振る舞おう!」
「あのねぇー…」
最期まで期待を裏切らないフレディーだった。
「豚の丸焼きもいいですが、お酒が欲しいわ」
「そうだな、お祝いだからな」
「そうじゃないだろ!このお馬鹿カップル!」
打ち合わせをしたかのようにボケを連発する二人に翻弄されるステラだった。
ある意味ではこの二人が組めば敵なしかもしれない。
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