婚約者に冤罪をかけられ島流しされたのでスローライフを楽しみます!

ユウ

文字の大きさ
上 下
22 / 111
第一章国外追放

21.親友からの手紙

しおりを挟む





一方、その頃隣国では。



匿名希望で手紙が届けられていた。


「ハイジ‥」

手紙にはあて名はなかったが字を見ればすぐに解った。


「お嬢様…」

「ハイジは無事よ。流罪になった先では優しい人囲まれ生活しているそうだわ」

「それはようございました」

手紙では楽しく暮らしているから心配しないで欲しいとことや、相談する余裕もなくこんなことになった詫びが丁寧に書かれていた。


しかし‥


「手紙に書いていても真実か解らないわよね」

「お嬢様?」

「無事な姿を見るまで納得できないわ。すぐに場所を…」

「お嬢様ぁぁぁ!」


手紙を閉じようとした時だった他の使用人が入って来た。


「たたっ…大変です」

「何?私は今忙しいのよ」

「こちらご覧ください」


バァンとテーブルに置かれた新聞を見る。

「何…は?」

「これは隣国のカルフェオン国の南部‥え!」

新聞を見るとお祭りの風景が乗っていた。
どうやら大食い大会の様子が写真に収められていたが、見開きに映っているのは。


「ハイジ!」

「ええ…若干、雰囲気が違いますが」

「手紙には隣国の辺境地にいるって書いてあるけど…南部にいたのね」

無事であることが解り安堵するも、使用人が冷や汗をかきながら告げる。


「それが、お知らせしたいのはそれだけではありません…隣を」

「何?新星、若き牧場経営者の伝説?大食い選手権に優勝した可憐な少女は牧場を経営し、成功を収めた?食文化の発展に貢献し、島の窮地を救う。まさしく救国の乙女?」

「斬新なアイデアで作物の開発に尽力し、閉鎖的だった島の住民や老人の孤独死を救った女神…」

「あの子は!」


追放されてさぞ辛い思いをしているかと思えば、ちゃっかりエンジョイしている。

祖国にいた頃よりも悠々自適な生活を送っている様子が書かれている。



「なんというか‥逞しい」

「まぁ、ハイジは自立しているし」

貴族令嬢だった頃から常に耐え忍ぶ生活を強いられながらも、上手く立ち回っていた。


「すぐに旅支度を」

「今からですか?」

「そうよ、直接あの子の無事な姿を見ないことには安心できないわ」


新聞では成功者として書かれているが、直接元気な顔を見ないことには心配で仕方ない。



「とは言え、まだこの情報はこちらに流れていないわね?」

「はい、時間の問題ですが」

「そう。ならば旅に出る前にやることがあるわ…屑共を徹底的に叩いてやるの!ええ、貴族社会の恐ろしさを世間知らずの馬鹿に知らしめてやるわ…学園でも徹底的に潰してやるわ」


今すぐにでも会いに行きたいが、その迄に邪魔なゴミを片付けなくてはならない。

「この情報を出来るだけ広めるのはストップさせて。お金をどれだけ使ってもいいわ…情報をシャットアウトして」

「ですが、長期間は難しいかと」

「構わないわ」


その間に学園からも社交界からもいれないように仕組んでやろう。
既に布石は投じているので、今すぐにでも追放するのは容易いが、それでは面白くない。


「自分から社交界から出て行きたくなるほどの地獄を味わわせてあげる。私の親友に手を出したのだから…それ相応の罰は受けてもらうわ」


「現在、調査中のあれはどうしましょう」

「勿論続行よ?まぁ、調べてもハイジが虐めをした証言は出てこないでしょうけど…逆にあの女の悪い噂がどんどん出て来るわ」

「かしこまりました」

「ついでにアイツ等を没落に追い込んでやるわ…侯爵家は隠居なさった前元侯爵様に判断を任せるか、後継ぎが無ければ陛下に爵位を返上ね」


元は入り婿だった父親に継承権はない。
それをどう勘違いしているのか、後継ぎになった気でいる。

「侯爵家の血筋を受け継いでいるのはハイジよ。いくら母親が亡くなっても覆らない。前侯爵様が生きていらっしゃる以上は好きにできないわ…けれど良き父でいれば可能性はあったのに」

「その可能性を潰したのですから浅はかですね」

「ええ、ハイジにした仕打ちを前侯爵様はお許しにならない。アイツ等を追い込むためなら爵位を手放すでしょう。権力に執着しておられないし‥蓄えは十分にあるもの」


ただし、義息子はレイジ程賢くない。
侯爵家の力があるから、今までのし上がってこれたが、偉大なる義父がいなくなればどうなるか解り切っている。

「あの馬鹿息子も社交界では良い噂はないわ。徹底的に潰してあげるわ」


親友をズタボロにした罪を償わせる。
やられたら倍返しをする性格のフレイアの目は悪魔よりも恐ろしかった。

しおりを挟む
感想 291

あなたにおすすめの小説

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

井藤 美樹
恋愛
常々、社交を苦手としていましたが、今回ばかりは仕方なく出席しておりましたの。婚約者と一緒にね。 その席で、突然始まった婚約破棄という名の茶番劇。 頭がお花畑の方々の発言が続きます。 すると、なぜが、私の名前が…… もちろん、火の粉はその場で消しましたよ。 ついでに、独立宣言もしちゃいました。 主人公、めちゃくちゃ口悪いです。 成り立てホヤホヤのミネリア王女殿下の溺愛&奮闘記。ちょっとだけ、冒険譚もあります。

【完結】元婚約者の次の婚約者は私の妹だそうです。ところでご存知ないでしょうが、妹は貴方の妹でもありますよ。

葉桜鹿乃
恋愛
あらぬ罪を着せられ婚約破棄を言い渡されたジュリア・スカーレット伯爵令嬢は、ある秘密を抱えていた。 それは、元婚約者モーガンが次の婚約者に望んだジュリアの妹マリアが、モーガンの実の妹でもある、という秘密だ。 本当ならば墓まで持っていくつもりだったが、ジュリアを婚約者にとモーガンの親友である第一王子フィリップが望んでくれた事で、ジュリアは真実を突きつける事を決める。 ※エピローグにてひとまず完結ですが、疑問点があがっていた所や、具体的な姉妹に対する差など、サクサク読んでもらうのに削った所を(現在他作を書いているので不定期で)番外編で更新しますので、暫く連載中のままとさせていただきます。よろしくお願いします。 番外編に手が回らないため、一旦完結と致します。 (2021/02/07 02:00) 小説家になろう・カクヨムでも別名義にて連載を始めました。 恋愛及び全体1位ありがとうございます! ※感想の取り扱いについては近況ボードを参照ください。(10/27追記)

もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」 婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。 もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。 ……え? いまさら何ですか? 殿下。 そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね? もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。 だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。 これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。 ※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。    他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。

婚約破棄に乗り換え、上等です。私は名前を変えて隣国へ行きますね

ルーシャオ
恋愛
アンカーソン伯爵家令嬢メリッサはテイト公爵家後継のヒューバートから婚約破棄を言い渡される。幼い頃妹ライラをかばってできたあざを指して「失せろ、その顔が治ってから出直してこい」と言い放たれ、挙句にはヒューバートはライラと婚約することに。 失意のメリッサは王立寄宿学校の教師マギニスの言葉に支えられ、一人で生きていくことを決断。エミーと名前を変え、隣国アスタニア帝国に渡って書籍商になる。するとあるとき、ジーベルン子爵アレクシスと出会う。ひょんなことでアレクシスに顔のあざを見られ——。

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~

ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。 そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。 シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。 ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。 それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。 それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。 なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた―― ☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆ ☆全文字はだいたい14万文字になっています☆ ☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆

妹ばかり見ている婚約者はもういりません

水谷繭
恋愛
子爵令嬢のジュスティーナは、裕福な伯爵家の令息ルドヴィクの婚約者。しかし、ルドヴィクはいつもジュスティーナではなく、彼女の妹のフェリーチェに会いに来る。 自分に対する態度とは全く違う優しい態度でフェリーチェに接するルドヴィクを見て傷つくジュスティーナだが、自分は妹のように愛らしくないし、魔法の能力も中途半端だからと諦めていた。 そんなある日、ルドヴィクが妹に婚約者の証の契約石に見立てた石を渡し、「君の方が婚約者だったらよかったのに」と言っているのを聞いてしまう。 さらに婚約解消が出来ないのは自分が嫌がっているせいだという嘘まで吐かれ、我慢の限界が来たジュスティーナは、ルドヴィクとの婚約を破棄することを決意するが……。 ◆エールありがとうございます! ◇表紙画像はGirly Drop様からお借りしました💐 ◆なろうにも載せ始めました ◇いいね押してくれた方ありがとうございます!

(完結〉恐怖のギロチン回避! 皇太子との婚約は妹に譲ります〜 え? 私のことはお気になさらずに

にのまえ
恋愛
夏のおとずれ告げる王城主催の舞踏会。 この舞踏会に、婚約者のエスコートなく来ていた、公爵令嬢カサンドラ・マドレーヌ(18)は酔って庭園にでてきた。 酔いを冷ましながらバラ園の中を歩き、大昔国を護った、大聖女マリアンヌの銅像が立つ噴水の側で。 自分の婚約者の皇太子アサルトと、妹シャリィの逢瀬を見て、カサンドラはシャックを受ける。 それと同時にカサンドラの周りの景色が変わり、自分の悲惨な未来の姿を垣間見る。 私、一度死んで……時が舞い戻った? カサンドラ、皇太子と婚約の破棄します。 嫉妬で、妹もいじめません。 なにより、死にたくないので逃げまぁ〜す。 エブリスタ様で『完結』しました話に 変えさせていただきました。

処理中です...