婚約者に冤罪をかけられ島流しされたのでスローライフを楽しみます!

ユウ

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第一章国外追放

21.親友からの手紙

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一方、その頃隣国では。



匿名希望で手紙が届けられていた。


「ハイジ‥」

手紙にはあて名はなかったが字を見ればすぐに解った。


「お嬢様…」

「ハイジは無事よ。流罪になった先では優しい人囲まれ生活しているそうだわ」

「それはようございました」

手紙では楽しく暮らしているから心配しないで欲しいとことや、相談する余裕もなくこんなことになった詫びが丁寧に書かれていた。


しかし‥


「手紙に書いていても真実か解らないわよね」

「お嬢様?」

「無事な姿を見るまで納得できないわ。すぐに場所を…」

「お嬢様ぁぁぁ!」


手紙を閉じようとした時だった他の使用人が入って来た。


「たたっ…大変です」

「何?私は今忙しいのよ」

「こちらご覧ください」


バァンとテーブルに置かれた新聞を見る。

「何…は?」

「これは隣国のカルフェオン国の南部‥え!」

新聞を見るとお祭りの風景が乗っていた。
どうやら大食い大会の様子が写真に収められていたが、見開きに映っているのは。


「ハイジ!」

「ええ…若干、雰囲気が違いますが」

「手紙には隣国の辺境地にいるって書いてあるけど…南部にいたのね」

無事であることが解り安堵するも、使用人が冷や汗をかきながら告げる。


「それが、お知らせしたいのはそれだけではありません…隣を」

「何?新星、若き牧場経営者の伝説?大食い選手権に優勝した可憐な少女は牧場を経営し、成功を収めた?食文化の発展に貢献し、島の窮地を救う。まさしく救国の乙女?」

「斬新なアイデアで作物の開発に尽力し、閉鎖的だった島の住民や老人の孤独死を救った女神…」

「あの子は!」


追放されてさぞ辛い思いをしているかと思えば、ちゃっかりエンジョイしている。

祖国にいた頃よりも悠々自適な生活を送っている様子が書かれている。



「なんというか‥逞しい」

「まぁ、ハイジは自立しているし」

貴族令嬢だった頃から常に耐え忍ぶ生活を強いられながらも、上手く立ち回っていた。


「すぐに旅支度を」

「今からですか?」

「そうよ、直接あの子の無事な姿を見ないことには安心できないわ」


新聞では成功者として書かれているが、直接元気な顔を見ないことには心配で仕方ない。



「とは言え、まだこの情報はこちらに流れていないわね?」

「はい、時間の問題ですが」

「そう。ならば旅に出る前にやることがあるわ…屑共を徹底的に叩いてやるの!ええ、貴族社会の恐ろしさを世間知らずの馬鹿に知らしめてやるわ…学園でも徹底的に潰してやるわ」


今すぐにでも会いに行きたいが、その迄に邪魔なゴミを片付けなくてはならない。

「この情報を出来るだけ広めるのはストップさせて。お金をどれだけ使ってもいいわ…情報をシャットアウトして」

「ですが、長期間は難しいかと」

「構わないわ」


その間に学園からも社交界からもいれないように仕組んでやろう。
既に布石は投じているので、今すぐにでも追放するのは容易いが、それでは面白くない。


「自分から社交界から出て行きたくなるほどの地獄を味わわせてあげる。私の親友に手を出したのだから…それ相応の罰は受けてもらうわ」


「現在、調査中のあれはどうしましょう」

「勿論続行よ?まぁ、調べてもハイジが虐めをした証言は出てこないでしょうけど…逆にあの女の悪い噂がどんどん出て来るわ」

「かしこまりました」

「ついでにアイツ等を没落に追い込んでやるわ…侯爵家は隠居なさった前元侯爵様に判断を任せるか、後継ぎが無ければ陛下に爵位を返上ね」


元は入り婿だった父親に継承権はない。
それをどう勘違いしているのか、後継ぎになった気でいる。

「侯爵家の血筋を受け継いでいるのはハイジよ。いくら母親が亡くなっても覆らない。前侯爵様が生きていらっしゃる以上は好きにできないわ…けれど良き父でいれば可能性はあったのに」

「その可能性を潰したのですから浅はかですね」

「ええ、ハイジにした仕打ちを前侯爵様はお許しにならない。アイツ等を追い込むためなら爵位を手放すでしょう。権力に執着しておられないし‥蓄えは十分にあるもの」


ただし、義息子はレイジ程賢くない。
侯爵家の力があるから、今までのし上がってこれたが、偉大なる義父がいなくなればどうなるか解り切っている。

「あの馬鹿息子も社交界では良い噂はないわ。徹底的に潰してあげるわ」


親友をズタボロにした罪を償わせる。
やられたら倍返しをする性格のフレイアの目は悪魔よりも恐ろしかった。

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