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第一章国外追放
16.悪だくみ
しおりを挟む反対者がいないので、計画は順調に進んでいた。
とは言え、島全体を守る為にはお金をもっと稼ぎたいので商売を始めなくてはと思った。
「ほーら、たんとお食べ」
「コケコッコー!」
庭に放し飼いにしている鶏に餌をばら撒く。
「沢山運動して、美味しい肉になってね」
「コケ?」
庭では鶏を狭い小屋に入れず、運動をしっかりさせていた。
その方が、肉が美味しくなるからだ。
他所では養鶏所があるが、大量生産をする為に狭い場所に拘束してエサ代を浮かせるために必要以上に運動させなかった。
あげく病気にならないように薬を飲ませていたので、肉がまずくなるし、そんなものを食べれば体を壊すのは解り切っていたので、昔ながらの方法を考えたのだ。
「あ、玉子」
鶏達が玉子を生んでいるのを発見して、早速籠に入れて行く。
「折角だから都会で高値で売ろうか。いや、貴族に五倍の値段で売れば…」
「君も悪徳商売と変わらないんじゃないか」
「フレディー?」
何時ものように現れるフレディー。
「馬小屋の掃除は?」
「完璧だ」
「お疲れ」
最近二人は一緒に暮らし始めた。
邸は部屋は有り余っているし、女の一人暮らしは危険ということでフレディーに言いくるめられたが、今まで毎日通っていたこともあり、特に変わりはなかった。
「今度は何を目論んでいるんだ」
「いや、島を拡大して環境を整える為に資金を」
「また、そんなことを」
ため息をつくフレディーだったが、アーデルハイドは思付きだけで終わらず、必ず実行してしまうので恐ろしい。
しかもアイデアは斬新ながら合理的だった。
互いに利益があるように持って行き、交渉する手段を心得ている。
質が悪いことに、大盤振る舞いで取引先には契約後にもお礼と称してブランド肉を送るのだから関係も悪くならない。
現在、ジャンに任された森で飼育している豚、牛等はブランド肉と呼ばれるようになり。
国内でも最も高価な肉となり、島の財源となっていた。
おかげで数多の大商会と取引の声が颯爽するが、騙されたりしないようにフレディーが間に入っていた。
女性では騙されたり脅される心配もあるので、腕っぷしも良く。
世界中を旅しているフレディーは、そう言った輩の扱い方が美味かった。
余談だが、頭の悪い貴族がこの邸に侵入しようとしたこともあったが、予防策もばっちりだった。
「そうだ、ちいちゃんは?」
「チーなら、あそこにいる」
フレディーが指さす方向には巨大な獣がこちらを見ていた。
「ガォ!」
「ちいちゃん、お腹いっぱいになった?」
「ガウ」
手を上げて返事をする巨大なクマだった。
絶対に人に懐くことはない猛獣で、魔獣に分類されるのだった。
「本当に大きくなったね。大人になってチャーミングだよ」
「いや、こんな巨体にチーちゃんなんて可愛い名前を付ける君が恐ろしい」
実はこの魔熊を拾った頃は正体に気づかなかった。
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