婚約者に冤罪をかけられ島流しされたのでスローライフを楽しみます!

ユウ

文字の大きさ
上 下
14 / 111
第一章国外追放

13.カレーの食べ方

しおりを挟む




しばらくして、挑戦者は苦しみ出した。


「無理‥」

「もう食べれません…」


バタバタと倒れて行く。
既に半分は、苦しみながら倒れていた。


「どうなっているんだ?」

「ああ…」


そんな中、完食したアーデルハイドはボタンを押した。

『答えをどうぞ!』

「隠し味はマスタード!」

『大正解です!ハイジ選手ぶっちぎりです!』


第二ラウンドも余裕でぶっちりぎりだった。


『ここで解説が入ります。お願います』

『はい、このサルサカレーは激辛唐辛子が練り込んであります。水を飲むとより強烈な辛さを感じます。そしてもう一つ、具材は水を飲むと膨れる成分があります』

『なるほど、では食事中に水を飲むのはダメなんですね』

『カレーに対して失礼な行動です。対してハイジちゃんはカレーを食べる前に甘いものを食べてお口直しをした後はカレー以外を食べてません…及第点です!』


司会者とカレー職人の言葉に観客は絶句した。


「嘘だろ」

「すっ、すごい。偶然にしてはできすぎだよ」

既に二人の職人はハイジの食べっぷりと食べ方のマナーに感激している。


『そして何より残さず綺麗に食べています。作り側からすればこれほど嬉しいことはありません。最後にはごちそうさまをしてくれてます』

『素晴らしい評価です!』


こうしてアーデルハイドは着々と勝ち進んでいた。


「フッ、中々やるじゃないか」

「男爵様…」

「私はこれでも世界中の食べ物を食べ尽くしたグルメだ。だが、忘れていたよ。作ってくれた人への感謝を」


料理は作る側の思いが込められている。
感謝を込めて食べることがどれだけ大切な思い出す男爵は笑みを浮かべた。


「この勝負あったな」

「「え?」」

「見たまえ、既にカレーを食べる手が止まっている」


残りの挑戦者は食べる気力すらなくなっていた。


「勝者は決まった」

『はい…大食大会の優勝者はハイジ選手です!』


「「「「わぁぁぁぁ!!」」」


対戦相手は試合続行不可能となり、アーデルハイドは優勝してしまった。



「え?何?」

「ハイジ君、おめでとう。君の優勝だ」

「じゃあ、ご当地グルメは?」


「お前はまだ食べるのか!」


まだ食べ足りないアーデルハイドは残念な表情をしていた。


「ステーキ、トルティーヤ、サボテンコーラ…食べたかったのに」

「ブラックホールかい!」


ステラは呆れてしまった。
まだまだ食べる気でいたのかと思うと死ぬほど心配したのはなんだったのか。


「気に入った!今から私の邸に来なさい…存分に食べさせてあげよう」

「本当に?」

「ああ、賞金も君のものだ。実に気分が良い!」


実は今日出された料理は全て男爵の使用人が作ったものでレシピを考えたのも男爵の祖父だった。


料理を賛美することはそのまま男爵を賛美する事に繋がっているのだ。


「こんなに気持ちよく食べてくれたのは初めてだ。元宮廷料理長を務めた立場として嬉しいよ」

「私も嬉しいです。こんなに美味しものが食べられて」

「そうか、そうか…」


ジャン・ブランターノ。
宮廷料理長を務めた後に功績が認められ爵位を賜り、カメリアを中心に地中海に料理革命を起こした人物だった。

現在は牧畜、農産業を手広く行っている。
根っからのグルメで食べることに大変な情熱を持っていた。


「私は長い間、料理を振る舞って来たが…今日ほど気分が良い日はない」

「私も幸せです。今日は美味しいものが沢山で」


心底幸せそうな表情をするアーデルハイドをますます気に入ったようだ。


「あの堅物男爵が…」

「ハイジ、恐ろしい子」


ステラとフレディーは表向きは社交的であるが、腹の中が読めない男爵を手名付けたアーデルハイドに驚くばかりだった。


結果として、広い土地と家畜を手に入れることに成功し、尚且つジャンに気に入られてしまうのだった。


後に新聞でも取り上げられ他国にも知れ渡ることになるのだった。


しおりを挟む
感想 291

あなたにおすすめの小説

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

井藤 美樹
恋愛
常々、社交を苦手としていましたが、今回ばかりは仕方なく出席しておりましたの。婚約者と一緒にね。 その席で、突然始まった婚約破棄という名の茶番劇。 頭がお花畑の方々の発言が続きます。 すると、なぜが、私の名前が…… もちろん、火の粉はその場で消しましたよ。 ついでに、独立宣言もしちゃいました。 主人公、めちゃくちゃ口悪いです。 成り立てホヤホヤのミネリア王女殿下の溺愛&奮闘記。ちょっとだけ、冒険譚もあります。

【完結】元婚約者の次の婚約者は私の妹だそうです。ところでご存知ないでしょうが、妹は貴方の妹でもありますよ。

葉桜鹿乃
恋愛
あらぬ罪を着せられ婚約破棄を言い渡されたジュリア・スカーレット伯爵令嬢は、ある秘密を抱えていた。 それは、元婚約者モーガンが次の婚約者に望んだジュリアの妹マリアが、モーガンの実の妹でもある、という秘密だ。 本当ならば墓まで持っていくつもりだったが、ジュリアを婚約者にとモーガンの親友である第一王子フィリップが望んでくれた事で、ジュリアは真実を突きつける事を決める。 ※エピローグにてひとまず完結ですが、疑問点があがっていた所や、具体的な姉妹に対する差など、サクサク読んでもらうのに削った所を(現在他作を書いているので不定期で)番外編で更新しますので、暫く連載中のままとさせていただきます。よろしくお願いします。 番外編に手が回らないため、一旦完結と致します。 (2021/02/07 02:00) 小説家になろう・カクヨムでも別名義にて連載を始めました。 恋愛及び全体1位ありがとうございます! ※感想の取り扱いについては近況ボードを参照ください。(10/27追記)

もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」 婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。 もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。 ……え? いまさら何ですか? 殿下。 そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね? もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。 だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。 これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。 ※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。    他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。

婚約破棄に乗り換え、上等です。私は名前を変えて隣国へ行きますね

ルーシャオ
恋愛
アンカーソン伯爵家令嬢メリッサはテイト公爵家後継のヒューバートから婚約破棄を言い渡される。幼い頃妹ライラをかばってできたあざを指して「失せろ、その顔が治ってから出直してこい」と言い放たれ、挙句にはヒューバートはライラと婚約することに。 失意のメリッサは王立寄宿学校の教師マギニスの言葉に支えられ、一人で生きていくことを決断。エミーと名前を変え、隣国アスタニア帝国に渡って書籍商になる。するとあるとき、ジーベルン子爵アレクシスと出会う。ひょんなことでアレクシスに顔のあざを見られ——。

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~

ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。 そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。 シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。 ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。 それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。 それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。 なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた―― ☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆ ☆全文字はだいたい14万文字になっています☆ ☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆

妹ばかり見ている婚約者はもういりません

水谷繭
恋愛
子爵令嬢のジュスティーナは、裕福な伯爵家の令息ルドヴィクの婚約者。しかし、ルドヴィクはいつもジュスティーナではなく、彼女の妹のフェリーチェに会いに来る。 自分に対する態度とは全く違う優しい態度でフェリーチェに接するルドヴィクを見て傷つくジュスティーナだが、自分は妹のように愛らしくないし、魔法の能力も中途半端だからと諦めていた。 そんなある日、ルドヴィクが妹に婚約者の証の契約石に見立てた石を渡し、「君の方が婚約者だったらよかったのに」と言っているのを聞いてしまう。 さらに婚約解消が出来ないのは自分が嫌がっているせいだという嘘まで吐かれ、我慢の限界が来たジュスティーナは、ルドヴィクとの婚約を破棄することを決意するが……。 ◆エールありがとうございます! ◇表紙画像はGirly Drop様からお借りしました💐 ◆なろうにも載せ始めました ◇いいね押してくれた方ありがとうございます!

(完結〉恐怖のギロチン回避! 皇太子との婚約は妹に譲ります〜 え? 私のことはお気になさらずに

にのまえ
恋愛
夏のおとずれ告げる王城主催の舞踏会。 この舞踏会に、婚約者のエスコートなく来ていた、公爵令嬢カサンドラ・マドレーヌ(18)は酔って庭園にでてきた。 酔いを冷ましながらバラ園の中を歩き、大昔国を護った、大聖女マリアンヌの銅像が立つ噴水の側で。 自分の婚約者の皇太子アサルトと、妹シャリィの逢瀬を見て、カサンドラはシャックを受ける。 それと同時にカサンドラの周りの景色が変わり、自分の悲惨な未来の姿を垣間見る。 私、一度死んで……時が舞い戻った? カサンドラ、皇太子と婚約の破棄します。 嫉妬で、妹もいじめません。 なにより、死にたくないので逃げまぁ〜す。 エブリスタ様で『完結』しました話に 変えさせていただきました。

処理中です...