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39.魔女の最後
しおりを挟む美しさとは目に見える物だけではない。
確かに美しい容姿に人は惹かれるが、心の醜さは目に見えやすく。
本当の意味で美しいものは見た目だけではない。
(どうして…どうしてよ!)
オフィーリアの瞳に移るソフィアはドレスも美しい宝石もないのにキラキラ輝き、以前よりも美しさが増していた。
「見た目だけ取り繕った美しさと、本当の美しさを持つ彼女との違いです」
「違うわ…私は誰よりも美しいわ」
「もう何も言っても無駄ですわね。災いの魔女を拘束なさい」
「「「ハッ!」」」
傍に控えていた警備隊がオフィーリアを拘束する。
「何をするの!私は聖女よ!無礼者!」
「魔女の狂言です。抵抗するなら力づくでもなさい。魔力封じの手錠を」
既に聖女の力は残っていないが、万一の事も考えて魔力を封じる魔道具を用意した。
「連れて行きなさい」
「ハッ!」
「ちょっと!何をするの…私は聖女よ!魔女じゃない。魔女はソフィアよ!」
拘束され無理矢理連行される中ギャーギャー叫んでいたが抵抗できず、キャンキャン叫ぶだけだった。
「王女殿下」
「これで魔女は片付いたわ。後は邪魔者を掃除するわ。良くて?」
「はい、既に手筈は整っております」
オフィーリアを利用した聖職者に貴族はまだ諦めていないが既に、罠を張っていた。
オフィーリアが聖女の資格を失い尚且つ災いを招いている事実と聖地巡礼の旅で問題を起こしているのは真実だ。
そこにもう一つ付け加えれば完全に逃げることはできない。
「裁判するまでもないのだけど、新聞記者を呼んで裁判を行った後に関係者を一網打尽にするわ」
「ソフィアには伝えますか?」
「必要ないわ。念のために護衛をつけてください」
オフィーリアがいなくなれば、ソフィアにすり寄り聖女に無理矢理祭り上げようとする輩は出るだろう。
それを阻止しなくてはならない。
一月後、正式な裁判の後。
オフィーリアは東北で最も厳しい修道院に送られることになった。
そこで一生罪を償いながら過ごす事を義務付けられ、事実上追放の身となるのだった。
オフィーリアの追放を知ったのは、その一週間後だった。
「これは…」
「クリスティーナ、やってくれたな」
新聞を見て苦笑するユリウスは何となく察していたのかそこまで驚かなかった。
「収穫の時期で連絡が取れなかったと思えば…貴族派の貴族達が粛清とは」
「恐らくオフィーリアを生贄に彼等を始末したんだろう。効率的というか」
二人の脳内には黒い笑みを浮かべ、容赦なく貴族達に悪魔の微笑みを浮かべるクリスティーナが浮かんだ。
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【著作者:天羽尤】【無断転載禁止】【以下のサイトでのみ掲載を認めます。これ以外は無断転載です〔小説家になろう/カクヨム/アルファポリス/マグネット〕】
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