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プロローグ

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古の時代より聖なる剣を持つ者を勇者。
そして祈りを捧げ光で勇者を導く者を聖女とされていた。

二人は国の宝でもあった。
この世に魔がはびこる時、聖女の導きにより勇者は聖剣と仲間と共に魔を滅すると言われていた。


それがここ、アストレイア王国の言い伝えだった。


ただし聖女は二人存在していたのだ。
一人は勇者と共に魔王を封じ、もう一人は魔物を鎮め最後の砦である王宮に結界敷きながら祈りを捧げる役目を担う。



双方も共に大切な役目を持つのだが、魔王討伐から帰還した祝いの席でにより前代未聞の出来事が起きた。


「ソフィア今日を持って君との婚約破棄をするそして、聖女の名を偽った罪として君の悪事を暴かせてもらう」

「これ以上罪を重ねることはお止めください」


祝いの席にて大勢が見ている中、祈りの聖女、ソフィアに告げたのは、婚約者のジェイコブ・ローリェ侯爵子息だった。

彼は王妃の甥に当たる。
聖女としての素質を持ち、幼少期からノブレス・オブリージュを守り続けていた事から子爵令嬢でありながらも侯爵家の子息との婚約を決められた。


「聖女と名乗り、多くの者を惑わし罪は重い!あげくの果てには戦場に立たず宮廷で祈るだけしかしなかったことは許しがたきことだ!もう一人の聖女は勇者達と共に魔王討伐に向かった。彼女こそ…オフィーリアこそ本物だ!」

もう一人の聖女、オフィーリア。
彼女は勇者達と行動を共にし魔王討伐に命を受けていた。

光属性を持ち勇者に力を与える存在として。


「ここに宣言する。彼女こそこの国の真の聖女であり。聖女の称号は彼女が継承する!真の聖女がいる以上偽物は必要ない」


大勢の前で晒し物にされるソフィアはただ耐えるだけだった。


しかしそこに。


「この場で発言をお許しいただいてよろしいでしょうか?」

「君は…勇者のユリウス?」

「先ほど、ソフィア様は聖女の役目を解くと仰せになられましたが」

「ああそうだ」

「そして彼女を平民にと?」

「二言はない」


再三確認をするユリウスにソフィアは顔を俯かせる。

何故こんなことを何度も確認しているのかと思ったのだが――。


「ならばソフィア様、私の妻になっていただけますか」

「はい?」

「なっ!」


前代未聞の出来事だった。

婚約破棄を言い渡され領地も、爵位も財産もすべて奪われ平民になるように言われた令嬢に勇者は結婚を申し込んだのだった。


通常ならばありえない。


婚約破棄をされすぐに求婚を受けてしまったソフィアはそのまま立ち尽くすより他なかった。



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