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後日~お邪魔虫
しおりを挟む結婚式から三か月が過ぎ、アレーシャは宮廷内に離宮で新たな生活を送っていた。
王族にしてはこじんまりとしているが、過ごしやすくかった。
薔薇園が咲きほこり。
四季折々の花を楽しみながら野菜も栽培している。
‥‥‥が不機嫌な表情をしながらお茶を飲む男性が一人。
「いやぁ!今日の焼き菓子も上手いな!やっぱり疲れた時は甘いものだよな!!」
上機嫌でお菓子を食べ、紅茶を飲むエンディミオン。
「アイスティーに限る。甘さがちょうどいい」
隣で冷たいアイスティーを飲みながら寛ぐ王。
「このリンゴパイもいけるな!絶対売れるな!!」
「リンゴの出荷率もあがっているから利益が取れるわ!!」
旨を張って大笑いする兄と弟に殺意を向ける。
「レオンハルト様。殺意をお消しください」
「何故毎日来るんだ。しかも朝早くから!!」
結婚式を挙げて新婚生活を満喫しようと思っていた。
結婚式前はごたごたで二人きりの時間は少なく。
結婚式を挙げたと思えば遠征部隊を率いて王都を離れなくてはならず二人で過ごす時間はなかった。
ようやく遠征先から帰って気かと思うとこれだ。
「アレーシャ、お代わりだ」
「俺はミルクティーしてくれ」
(この馬鹿兄弟!)
堂々と離宮に我が家の如く入り込み憩いの場に使っている。
「はい、ただいま」
「アレーシャ!!」
レオンハルトの怒りを他所にアレーシャは文句を言わずお茶の用意をしている。
「態々茶を出す必要はないぞ!」
「折角お忙しい中きてくださっているのに」
忙しいなら執務室でお茶を飲めばいいのに態々来なくていいと思った。
(なんの嫌がらせだ!!)
ようやく結婚して二人きりの時間ができたと思えば目下の敵は身内だなんて笑えない。
「アレーシャ、茶をしに来たのだが」
「あら?お義母様」
「新しい茶を淹れてくれぬか?」
お土産持参で現れたのは本丸だった。
「邪魔じゃ。馬鹿息子」
「母上。なんの嫌がらせですか」
どうして身内はこうも嫌がらせをするのが好きなのか。
普通は遠慮するものだろう。
「今日は女子会をする」
「女子?」
「なんじゃ?文句でもあるのか」
女子会と言われ疑問を抱いたのは年齢によるものだ。
既に還暦を迎えているセラフィーヌに女子会と言う言葉よりも老人会の方がいいのでは?などと思ったが、そんなことを言えばお唸るか解っているので口が裂けてもいなかった。
「新しく婦人会の名前を考えたのだがなでしこの会というのはどうじゃ?」
「なでしこ?菊の会にした方がいいのでは?」
そんな可愛らしい名前など相応しくない。
何故なら平均年齢70歳の婦人会なのだから若々しい名前は似合わないと思ったが。
「何を言うか!私は100まで現役でいる気じゃ!故になでしこでいいのじゃ」
「お言葉を返すようですがあの婦人会は100歳では死なないと思いますが」
「当然じゃ。長生きして曾孫が王位に就いた時も私はその場に立ち会うのじゃからな!!」
この王太后ならばやりかねない。
(いや、待てよ!)
レオンハルトは楽隠居をする気が全くないセラフィーヌはそのうちこの離宮に居座るのではないかと思った。
(最悪だ!!)
子供ができればセラフィーヌは孫をみたさに居座り自分の住まいもここに作るだろう。
そうなれば同居になる。
レオンハルトのオアシスは地獄になるのも時間の問題では?と思う今日この頃。
「俺の新婚生活…」
「諦めよ」
「くっ!」
なんとしても諦める者か。
風前の灯に近しい決意をしながらも数年後アレーシャの出産と同時に離宮に住居を移すセラフィーヌと同居になることをまだ知らないでいた。
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