令嬢は大公に溺愛され過ぎている。

ユウ

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不満

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舞踏会は終わり、一息ついていた。


「こんな疲れる夜会は初めてだ」


「普通に寛ぐな」

何故かエンディミオンはアレーシャの部屋で寛いでいた。


「アレーシャ、茶を淹れてくれ」

「はい、ただいま」

「私は甘い菓子を所望する。紅茶はミルクを多めにしてくれ」

レオンハルトが隣で眉間に皺を寄せているのも構わず王とセラフィーヌまでもお茶を所望している。


「アレーシャは侍女ではないのですよ!!」

「そなたの嫁なら私は姑。嫁が姑に仕えるのは常識じゃ」

「そうじゃ。硬いことを気にするな」


セラフィーヌだけならばまだしも王までも仲間に加わってしまった。


「エンディミオン」

「俺は知らないからな…アレーシャ。俺は生クリームのミルクティー」

「エンディミオン様も好き放題ですね」

傍観しているユリアは冷めた視線を送る。


「レオンハルト、何を拗ねておるのじゃ」

「あれだけのことをした二人に罪が軽すぎます」


未だにしかめっ面をしていたレオンハルトは納得できなかった。


「ただ殺してはつまらぬではないか?それにアレーシャから奪った給料を全額返金させななくてはならぬ」

「王太后様…」

「娼館に投げ込むんでも一生かかっても支払えぬ」


爵位を奪われ平民となった二人は無一文で地道に働いても下働きぐらいしか使えない。

アレーシャのように幼少期から経営の勉強どころか、貴族の令嬢としての教養もないので稼ぐ手段はない。


「お金のことはもういいのですが」

「ならぬ。どれだけ浪費したか解っておるのか?」


「ちなみにこれがお使いになった金額でございます」

ユリアはエンディミオンに見せたのはこれまで二人が使った金額だ。


「これでも六割ぐらいですわね。あの二人はお嬢様の名を使って株をしてました」

「あの馬鹿共が」

セルジオは頭が痛くて仕方がない。
最後の最後まで恥をかかされ手土産がこれとは嘆きたくもなる。


「株の証券はどちらに?」

「ここにございます。すべて取り押さえました」


ユリアに手渡された証券を見て確認する。


「お父様、この株は私が買い取ります」

「しかしだな…」

「良くご覧ください。皆様も」


「「「え?」」」

アレーシャは二人が買い取った証券を見せ、そろばんをはじき始める。


「今は金利が少ないですが少しずつ金利が上がっておりますわ」

「確かに…」


「この株で私が資金を増やせば倍の輸入が見込めます。隣国に商売ができます」


心なしかアレーシャの目が輝いている。

「このお金をさらに投資をして資金を増やして‥‥」

ブツブツ言い始めるアレーシャは根っからのお金稼ぎが大好きだった。

その様子を見たエンディミオンとうんうんと頷きながらも誰かに似ていると思った。

「アレーシャの目が輝いているな」


「流石お金の神様の娘じゃな」

二人の視線はそのままセルジオに注がれていた。

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