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映像
しおりを挟む覚悟を持って二人はカテリーナに立ち向かう。
「そんなの証拠に…」
「いいえ証拠ならありますよ」
アンジェリーナがようやく言葉を放つ。
「当日にその現場を見ていた者がいますわ」
「え?」
「ああ…俺が証人だ」
エンディミオンが疲れた表情で告げた。
「俺の証言が怪しいなら花に聞くか?花壇の傍に植えられている百合は特殊でな?当時の映像を全て映し出せるんだ」
「なっ…なっ…」
「カテリーナ嬢が無実なら問題ない。よろしいですか?陛下」
「ああ、かまわぬ。そうじゃリューバリー夫人の件も皆に見せてはどうじゃ?」
「そっ…それは!」
二人は言葉が詰まる。
そんなものが仕掛けられていたなんて知らなかった。
しかも公衆の面前の前でそんなことをされたら終わりだ。
「何もそこまでしなくとも」
「何を言う?白黒はっきりつけた方がいいだろう?お前がアレーシャに狼藉をしていないならば私は謝罪するが、もし真実ならばそれ相応の覚悟を持ってもらう」
「旦那様!」
「私との約束を違えたのだから当然だ」
セルジオに縋り付こうとするもその手を叩かれる。
「さぁ映像を映し出すのじゃ」
王が侍従に告げ、花を持って来た女官。
「待ちなさい!!」
まずいと思った。
今ここで映像を映し出されてしまったら身の破滅になる。
多くの者達が見守る中映し出されたのは‥‥
目を疑う様な光景だった。
『きゃああ!』
『侍女風情が誰にも口をきいているのよ!私を誰だと思っているの』
映し出された映像は見るに堪えない光景だった。
助けを求める侍女に対してカテリーナの所業は酷すぎる所業で同情の余地がなく。
「止めて!!」
『ふふっ…お似合いよ?身分乏しいお前達は地面に這いつくばっているのがお似合いだわ…花と一緒につぶれておしまい』
侍女の二人を踏みつけながら散った花をヒールで踏みつける。
「あっ…ああ!私の大切な花が!!」
「おいお前!!」
花を贈った薔薇の苗は辺境伯爵夫人自ら育てたもので。
最高の薔薇を届けていた。
「しっかりしろ!!」
妻がショックで倒れ夫である辺境伯爵、ノルマンディー伯爵は妻を介抱する。
「なんてことですの…酷すぎますわ」
「この薔薇はサーシャの誕生の祝に送られたものだぞ」
サーシャの薔薇を踏みつけたカテリーナにサーシャ自身もルーファスも怒りを抑えられずにいた。
「ちなみに、その前の映像がこちらになります」
「止めなさいって言っているでしょ!」
エンディミオンの側近がさらに前の映像を見せる。
『お姉様、無礼にも程がありますわよ。そんな醜態を晒すなんて』
映像は変わって、アレーシャが体調不良になりルーファスに介抱されている場面だった。
病気の姉に罵倒を浴びせ気遣うこともない。
酷い言葉を浴びせ続ける中、ルクレチアが現れる。
『お母様、お姉様が粗相を』
『なんですって?まったくどこまで恥知らずなのかしら。侍女としても女性としても出来損ないなんて。どうしてお前など生まれて来たのかしら』
二人は散々罵倒を浴びせ高笑いをしている。
見ている人間はドン引きしていた。
「人としてどうかしてますわ」
「亡くなった前妻の方をあんな風におっしゃるなんて」
貴族令嬢、夫人は一斉に二人を見る。
証人に映像まで証拠として出されれば言い逃れは出来なかった。
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