令嬢は大公に溺愛され過ぎている。

ユウ

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四大公爵

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王が玉座に座り、周りの貴族が言葉を賜る。


「今日は皆、よく来てくれた」


玉座から立ち上がり声をかける王に耳を傾ける。


「本日の舞踏会は我が弟の帰還を祝いそして我が国に新たに侯爵の地位を与えるにふさわしい者が誕生した」


「えっ…」

「侯爵だって!?」


一同にざわめく貴族達。


「その者は戦で焼かれた土地を買い取り畑や農村に代えただけでなく今後の改革にも尽力した者である」


傍にいる宰相に目を向ける。


「現段階で国は赤字状態でありましたが。とある方の改革により税を上げることなく多くの軍人を派遣する財力を確保がかないました」

「なんだって!!」

「そんなことが可能なのか!」

戦場に軍人を派遣するにはお金がかかる。
本来ならば税金を増やすのが、国庫に負担をかけてしまう。

最悪国民からの不平不満が募り一揆を起こされるのだがそれを回避したとなれば功績は相当なものだった。


「そして戦場に家族を亡くした者には年金を支払う制度を作り。その資金も確保している。その者はまれに見る才能あふれ…私財を投げうち改革を進めている」

王は名前を出さないがその人物に視線を送る。


「よってその者に侯爵の地位を与える」

有無を言わせないと目で訴え、他の貴族は誰なのかと思案する。


「その者の名前は


  プライム伯爵令嬢アレーシャじゃ!!」



声高らかに告げられた言葉に空気は静まり返る。



「プライム伯爵令嬢…って」

「まさかあの?」

「そんな馬鹿な!!」


まだ年若い令嬢で成人して日も浅い令嬢がそんあことが可能なのかと尋ねるも。



「大儀である」


セラフィーヌが言葉をかける。


「そなたはこれまで王族に忠義を尽くし、王女の為にデビュタントを遅らせながらも国の為に尽くした。誠に天晴じゃ」


「もったいなきお言葉にございます」

「そなたは稀に見る女傑じゃ。その才能を国の為に存分に生かすのじゃ」

「この身が及ぶ限り」


勲章を渡される。


この国で勲章をもらうのは誉だった。
しかも王太后から、直々に手渡されると言うことは王族に認められたという証だった。


「よくやった」


王は拍手を送り、遅れて他の貴族が拍手を送るがここで異論を唱える男が立ち上がる。


「陛下、発言をお許しいただけますか」

「申してみよモロゾフ公爵」


四大公爵の一人モロゾフ公爵が異論を唱える。


「アレーシャ嬢の功績は素晴らしいと存じますが。その程度の財源で侯爵の地位はいかがなものかと」

「不服と申すか」

「いえ、他の者も納得いたしません。国にとって窮地を救う程の実績があれば別ですが、物資の出荷率や税の軽減程度では納得しかねます。一年、二年程度など焼け石に水です」


最もな意見だった。
継続するだけの財を確保するのは極めて難しく困難だった。


「その点は心配ないでしょう?彼女の所有する土地からダイヤモンド鉱山が発見されました」


「なっ!!」

「現段階で彼女は国一番の資産家です。さらに彼女はその土地を軍事資金にすべてあずけると財務大臣に提出済み…侯爵の地位を得ても公爵家を蔑ろにしないとの誓約書もサインしております」


財務大臣からその誓約書を渡される。


「私は軍人ではございません。ですから軍の最高責任者である方に私財の七割を委ね、国を守る騎士の方々の援助金に当てていただきたく思います」


「なんだって!!」

「こちらがその契約書です。既にダイヤモンド鉱山の権利を手放されております」


大金を手放し国に寄付する手続きを済ませている。


「私は、公爵家の皆様がお許しなられないのであれば侯爵の地位はお返しいたします。私のような若輩者に爵位などどれほどの価値がございましょうか…何より、生まれながらの高潔などございません」

「うむ…」


「そうなろうとした方のみがその品格を得られると心得ております」

四大公爵の内二人は、元侯爵の地位から上り詰め。
その下の侯爵の中にも伯爵から成りあがった人物もいる。


生まれながらの高潔は意味がない。
そうなろうと努力し続けた者のみが得られることだった。

その姿勢を表した。


「異論はあるか?モロゾフ公爵」


王太后が再度問いかけるのに対して。


その場が静まり返っていた。
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