令嬢は大公に溺愛され過ぎている。

ユウ

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準備

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貴族の令嬢はデビュタントをして初めて社交界の仲間入りをする。

ただ、爵位のない令嬢はデビュタントをしていないこともあり。
宮廷に出仕している侍女も事情があってデビュタントをしていないことも少なくない。

そう言った場合は大体は家の事情によるものだった。
アレーシャもまた、デビュタントをしていない一人だった。

「あの…今なんと?」

「だから君のデビュタントをしようと思ってね」

「はぁ…」

お茶を飲みながら普通に言われてしまった。

「エンディミオン。お前はまた急に」

いつも唐突だったので慣れているが、今回ばかりは思う所があった。

「よく考えてくれ。アレーシャはデビュタントをしていなんだ。これじゃ爵位もあげれないじゃないか?」

「確かにそうだが…」

舞踏会は明後日だ。
それに間に合わせるのは難しいのではないか?とも思ったが。

「心配ございません。私が既に手配しております」

「いつの間に!?」

「流石ユリア」

有能な官僚でもあるユリアは侍女となり早速優秀な働きをしていた。

「予定としてましては明後日の舞踏会でデビュタントをするのが一番よろしいかと。タイミングも大事ですので」

手帳を取り出し予定を確認する。
夜会のスケジュールもびっしり詰まっている。

「やはり明後日の舞踏会が一番よろしいですね。四大公爵様もいらっしゃいますので」

「いや、俺はそのリストが気になるんだが」

「これは革新派の貴族のリストです。現在アレーシャ様が改革した事業に関心を持っている方々です。ここで誑し込め…いえ、交流をすれば今後役に立ちます」

(ユリア)

アレーシャの目が遠くを見つめる。
宮廷で逞しく成長しているのは喜ばしいく思うが複雑だった。


「宮廷では大公殿下のお妃選びをするのだともっぱらの噂ですので、タイミングは抜群です」

拳を突き上げどや顔をする。

「そういえばそんな話を聞きましたね」

「言うなれば最高級の肉に群がる狼…いいえ品の無い野良犬」

(((そこまで言うか!!)))

三人の心の声が一つになった。

仮にも高位な貴族にそこまではっきり言えるユリアは大物だった。


「確かに時折令嬢の目が飢えた肉食動物に見えることはあるな」

「兄上は普段戦場に逃げ込んで社交の場にでないだろうが…」

社交界に頻繁に顔をだすエンディミオンは餌食だった。
常にギラギラした目で見られて居心地が悪いとしか言いようがなかった。

王弟殿下の妃になればその権力は絶大だからだ。
未だ独身のエンディミオンが狙われるのが、その辺りは器用に交わしていたので問題ない。


「とにかくデビュタントが勝負です」

「そうね…」


本人よりもユリアの方が気合を入れていたので少し引き気味だったが。


舞踏会に向けて準備が着実に行われていた。



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