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第四章未来への扉
35.消えない憎しみ
しおりを挟む頭が燃えるように痛い。
どうして私が!
私はこんな所で終わる人間じゃないのよ!
選ばれた存在なんだから!
「うっ…ぐああああ!熱い…熱い!」
「矢の浄化によって邪気は清められるわ。貴女が業火の炎を放った罪を思い知ってください」
「ふざけるなぁぁぁ!」
体かが熱く痛みが走る。
動くこともままならず私の体をむしばむのは銀色の光だった。
窓から光が差し込み、光が肌に当たる度に痛みが強くなっていく。
「どうして…何でよ!」
「既にお前の肉体は老化が進んでいる。限られた魔力を使い果たしたのだからな」
手を見ると、皺皺になっている。
肌に触れるるまでもなく解ってしまう。
けれど…
「いやぁぁぁ!」
何故か足元に氷が貼られ、私の全身が映し出される。
「何よこれ!老婆になってるじゃない!」
「当然だ。黒い妖精を取り込み、限界を超えるまでの魔力を使えば肉体にも影響が及ぶ。後僅かな時間に肉体はさらに老化して、最後は解るだろう」
「身から出た錆よ?最後は自分の醜い姿を見ながら朽ち果てなさい」
どうしてそんな非道な真似をするのよ。
醜くなりながらジワジワ死んでいいく様を見せられるなんて生き地獄じゃない。
「お前の所為だ!お前が私からすべてを奪ったからだ!」
「この期に及んでまだ、お姉様を恨むの?すべては身から出た錆だと言ったでしょ」
「あああ!」
動こうとするも結界で囲まれた私は動くたびに地面から電流が走る。
こんな惨めな死に方なんて酷すぎる!
私は何も悪くない。
悪いのはオリヴィアと、平民の娘よ。
私からすべてを奪ったアイツが悪い!
「呪ってやる…呪ってやる!呪ってやる!死んでもお前を呪ってやるぅぅ!!」
絶対に呪い殺してやる。
このまま黙って死んでやるものか!
末代までお前を呪い続けてやるわ。
私がこんな惨めになっているのに、絶対に許さない。
「オリヴィア、お前だけは許さない!絶対に呪い続けてやる!!」
肉体が滅びても私は未来永劫、お前を呪い続けてやる。
王族も、呪われればいいんだ。
私を破滅に追い込んだお前達をいずれ呪ってやる。
黒い感情は消えることなく憎悪が膨れ上がる。
けれど、肉体の老化は進み私はそのまま倒れる。
「あっ…ああ!」
意識を保つのもままならず、私はその場に倒れこんだ。
オリヴィア達を憎みながら惨めな最後に終わりを告げたのだった。
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