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第四章未来への扉
29.聖女と魔女
しおりを挟む地下牢に向かい、マリアの救出に向かった私達。
「マリア…」
牢屋で鎖で繋がれ、傷だらけのマリアを見つけた。
なんて酷いことを。
「主、急いだ方が良い」
「ええ」
鍵を壊してもらい、マリアの手錠を壊す。
「マリア…マリア!」
「うっ…」
足元には焼けた跡や血が流れている。
「随分痛めつけられたようだな…外道が」
「酷い」
何でこんなことを。
とにかくマリアの傷を治療したいけど私は治癒魔法が得意ではない。
できることがあれるとすれ血を止める程度だわ。
「主の血を使えば可能だ、他の人間とは異なり巫女と聖女ならば血を与えることで傷を再生することができる」
「そう…なら」
手をナイフで斬りつけ血を流し、マリアの傷を癒していくと顔色が良くなっていく。
「んっ…」
「マリア!気が付いた!」
「リヴィア様…リヴィア様ぁぁ!」
目を覚ましたマリアは私にしがみ付き泣いた。
今までどんなに苛めや嫌がらせを受けても泣くことがなかったマリアが泣いた。
「マリアナ様が…リヴィア様が死んだって…それで」
「大丈夫よ、私は生きているわ」
私が死んだと聞かされマリアはどれだけショックを受けただろうか。
「怪しい男に連れ出されて突き飛ばされそうになったけど、急いで私の偽物を作ったの。聖虎の力を借りたからその場しのぎだったけど…少なくとも誤魔化すことはできるはずよ」
「そうだったんですか」
安心したマリアはようやく泣き止んだ。
「マリアナがしたのね」
「はい…」
言いにくそうにするマリアは優しい。
私が傷つくのではないかと思っているのだろうけど。
「私が甘かった…心のどこかで改心して欲しいと思った私が愚かだったわ」
結果的には私はマリアナから多くのものを奪ったのは事実だから。
けれど、マリアにこんな真似を。
「違います」
「マリア?」
「私もあの方には恨まれていました。だから、リヴィア様が悪いのではありません。何より…どんな理由があっても人を陥れ傷つけていい理由にはなりません。自分だけが幸せになるためにだなんて」
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その時だった、かすかに邪気を感じた。
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「リヴィア様!」
私は急いで結界魔法を作り出した。
雷が私達を襲ったが、寸前の所で結界を敷いたおかげで無事だった。
「なんだ…防いじゃったの?つまらないわ」
「マリアナ様!」
マリアの悲鳴に近い声が響き渡る。
目の前にはマリアナがいたけど、様子がおかしかった。
体全体に負の瘴気を纏い、手には大鎌を持っていた。
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