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第四章未来への扉
22.マルガリーテの不安
しおりを挟む嫌な予感がした。
何がと聞かれれば解らないけど、胸騒ぎがした私は、急いで王宮に向かった。
一週間後にオリヴィア様とジルベルト殿下の結婚式が行われるので気が立っているのかと思った。
いいえ、そう思いたかったのかもしれない。
私の中にまだ不安は拭いきれていなかったのだから。
まだ完全に解決したわけじゃない。
だから、オリヴィア様の無事を確認したかったのかもしれない。
馬車が王宮内に入り、私が御者に手を引かれた時だった。
「えっ…」
何かが落ちてくるのが見えた。
「なっ!」
二人の男女が庭園にある噴水に落ちてしまった。
「レオルド様とオリヴィア様!」
「はぁ!」
噴水内の水が飛ぶ瞬間、強い強化魔法が発動された。
「根性!筋肉鎧!!」
「ひぃぃぃ!」
「きゃああ!」
傍で見回りをしていた衛兵は悲鳴を上げ、何事かと駆けつけていた侍女も怯えた表情だった。
「レオルド様!」
「お待ちくださいお嬢様…マルガリーテ様!!」
私は急いでレオルド様に駆け寄ると、レオルド様は私に気づく。
「リーテ!急いで回復魔法を…姫様が!」
「はい!」
腕の中でぐったりしているオリヴィア様を見てゾッとする。
幸いにも息はしているので、私程度の回復魔法でも時間を稼ぐことができる。
「クララ!何の騒ぎ!」
「姫様が何者かにあそこから突き飛ばされたのよ」
指さす方向は王宮内の最上階だった。
「そんな…なんてことを」
「姫様を狙うなんて…なんてことをしてくれるのよ!」
レオルド様の周りに集まる漢女部隊達。
彼女達にとって女性を傷つける行為は最も悪しき行為とされている。
「急いでナウシカ様を呼びますわ隊長」
「ええ、頼んだわ」
「リーテ、貴女も戻りなさい」
次期王太子妃を狙ったのであれば、同じ派閥の私も狙われかねない。
レオルド様の判断は正かもしれないけど、ここで下がる気は毛頭ないわ。
「私は王太子妃様のお傍付きでしてよ?」
「私が傍にいるわ」
「着替えなどはどういたしますの?いくら心が乙女でも許しませんわ」
ええ、いくらレオルド様が乙女心を持っていらしても認められません。
「解ったわ、強情な子ね」
「そのお言葉そっくりそのままお返し増しますわ」
「くっ…」
今はオリヴィア様の体が最優先だった。
「マルガリーテ様!!」
程なくして空からナウシカ様の声が聞こえた。
竜騎士が使う飛竜にまたがり現れる姿は騎士さながらだった。
「うわぁー、なんて派手な登場」
「急いで風で手紙を運ばせたのでしょうけど…早過ぎね」
ナウシカ様の婚約者は竜騎士であるので、お願いをしたのでしょうね。
でも、今は一刻を急ぐから助かったわ!
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