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第四章未来への扉
21.おネェの根性
しおりを挟む手紙に書かれていた内容は聖女が攫われたとのことだった。
「隊長?」
「聖女様が誘拐されたそうよ」
「ええ!」
聖女様の住まう部屋には十分な警備を用意していたはず。
外からの侵入は無理だわ。
だとすると内にスパイがいた?
けれど、そんな様子は見られなかった。
「一体何故…聖女様を簡単に」
その時私は背筋が凍るような感覚に襲われた。
「まずいわ!急いでオリヴィア様の元へ!」
「え…」
「解らないの!聖女様と巫女様は二人で一人なのよ!」
聖女様が攫われたならば、巫女であるオリヴィア様にも危険が及ぶはずよ!
「急いで警備を増やします」
「私は姫様の元に急ぐわ…よくも私に喧嘩を売ったわね!」
私は専属の護衛を任されたというのに堂々と姫様に危害を加えようとするなんて。
「結婚式前に騒ぎを起こすなんて許せない。私達の乙女の夢を壊すなんていい度胸をしているじゃない」
「いや…まぁ、間違ってはいないですが」
今回の結婚式では料理は勿論のこと、披露宴会場の飾りつけは私達漢女部隊が愛情をこめてしたのよ?
その努力を無駄にするなんて!
何より一番許せないのは私達の姫様に手を出したことだわ。
「犯人は握りつぶしてやるわ」
「握りつぶすのは上半身だけにしてくださいね」
「考えて置くわ」
急いで赤い蝶で連絡を取らないと。
姫様の部屋に向かう最中、青い蝶が舞っていた。
『隊長、大変です』
「どうしたの?」
『何者かがオリヴィア様を部屋から連れ出しています。ノーチェスト公爵家の紋章が刺繍されたローブを着ていますが、偽物です!』
「なんですって!」
既に先手を打たれていたわね!
ガシャン!
「えっ…」
窓ガラスが割れる音が聞こえた。
「姫様!」
外を見ると最上階から姫様が誰かに突き飛ばされる影が見えた。
「ひっ…姫様ぁぁぁ!」
ダメ、間に合わない。
ここからじゃ、私の部下も手が届かない。
「舐めんじゃないわよ!」
私はメイド服を破り壁を壊して身を乗り出す。
「漢女部隊隊長のマッスルボディーは最強よぉぉ!アン・ドゥ・トロワ!!」
ここから下を確認しながら、私は落ちて行く姫様をキャッチする。
「絶対傷一つ付けないわ!おネェに誓って!!」
姫様を抱きしめながら私は、庭園にある泉にダイブした時、ローブを着た男から黒い影を見た気がした。
「きゃああ!誰か!」
「人が落ちたわ!!」
私が泉に落ちた瞬間、侍女や警備隊達が声を上げた。
タイミング悪く、この騒ぎ乗じてあの男は姿を隠してしまった。
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