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第四章未来への扉

14.不公平な世の中

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どうしてもこうも世の中とは不公平なのか。
日々を必死に生きている人間や、心優しい人が損をして、他者を利用して上手く立ち回り、他人を踏みつけにするような人間が得をする。


「世の中、不公平ね」

「そうでしょうか?」

「え?」

私の憂いを否定するのようにフェリシアは告げた。


「確かに母は、第三者から見れば不幸かもしれません。私も一時は、哀れだと思いました」

「フェリシア…」

「ですが、今なら解ります。母は哀れではなかったのだと…」


フェリシアの表情は吹っ切れたような、晴れやかな表情をしていた。

「オリヴィア様もどうではないでしょうか?運命に翻弄されながらも、自らの手で幸せを勝ちとりました。確かに不幸な目に合いました…ですが、その先に待っていたのは絶望ではなかった」

「あっ…」


私は改めて気づく。
確かに、フェルミーナ様は社交界から追放となってしまった。

ご両親を失い、修道院に身を寄せるしかなかったかもしれない。

けれど、修道院で過ごした時間の全てが苦痛だったとは言えないのだから。


「母の気持ちには母にしか解りません…ですが、父は復讐をしなかった。それは、母が望んだからじゃないかと思うのです」

「侯爵様ならば、裁判に持ち込むこともできましたものね?」

「はい…ですが、そうしなかったのは、母が願った。オリヴィア様が復讐を望まなかったように」


お姉様も、屑一家を必要以上に責めるような真似をしなかった。
折り合いをつけているとはいえ、簡単に許せるような事ではないというのに。


「母は、本当の修道女だと父が言ってました」

「そう…」

「だから、過去に縛られることを望まなかったのでしょう。でも、私はそう思えなかった。このままあいつらを許せなかった…でも、もう過去は今日限りで忘れます」


ちゃんと自分の中で決着を付けられるフェリシアは強い。


「ベアトリス様、本当にありがとうございました」

「お礼を言われるようなことはしていないわ」

私は少しだけおぜん立てをしただけだ。
何より、私はフェリシアのお母様を傷つけた男の娘だと言うのに。


「では、失礼いたします。美味しいお茶をありがとうございます」

「ええ…」

部屋を出て、フェリシアを見送り私の中でも少しだけ、心の整理がついたのだった。


そしてその一週間後、私はあいつ等をクララとレヴェッカに委ねた。
罪状は多くあるが、彼等の監視の元で、腐りきった性根を叩きなおしてもらうことにした。

とはいっても、どうなるかは目に見えていたが。


反省をしてもらうにはこれ以上の条件はないものね?


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