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第四章未来への扉
7.騎士のため息
しおりを挟む今頃どうしているだろうか。
ああ、何もなければいいのだが。
「どうしたベンノ」
「どうしたもこうもない」
私は頭が痛くて仕方ない。
いくら王妃陛下の命令と言えど、あの集団をオリヴィア様のお傍付きにするのは抵抗がある。
「ガボット、お前は知っていただろ」
「ああ、例の自称乙女部隊か」
「乙女?漢女部隊の間違いだろう」
「いいんだよ」
はぁー、困ったことをしてくれたものだ。
いくら王女殿下後任の特殊部隊とはいえ、オリヴィア様は大丈夫だろうか。
「ベンノ、お前も心配性だな?おカマ如きでどうこうなるなら、この国の王妃なんて務まらないぞ」
「私はオリヴィア様に期待をしているす、女王の資質は十分持ち合わせておられるのも知っている。しかしだ!いきなり性別不肖の上腕二頭筋の者が現れたら驚くだろう!」
私も当初は驚いた。
まぁ、顔に出さないように必死だったが。
「おいおい、俺達の姫さんはそんなか弱いのか?なんせ十年間、鬼畜外道の人でなしの家族から耐え抜いたんだぞ?」
「言葉を考えろ…無礼だぞ」
「だが、調べた結果…かなりえぐい事実ができて来たぞ」
婚約式が終わってすぐにシャリエール伯爵家の邸内を調べると、無能な両親がオリヴィア様をどれだけ蔑ろにし、あげくに領地代行の仕事を押し付けていたが解った。
前シャリエール伯爵のバックアップがあったとしても、オリヴィア様の功績は素晴らしく。
きっちりと、幼少期から領地経営を学んでいた証拠だろう。
宮廷貴族と領地持ちの貴族では責任もまるで違うというのに。
真実の愛とやらを貫いた事に酔いしれ、勝手に社交界で一目置かれている等、馬鹿だと思ったが…
「一番ひどいのはあの女だな…妹君の不名誉な噂をわざと流して、自分は妹を庇ういい姉を演じていたんだから」
「出来が悪いから社交界に出さない?馬鹿だろ…」
「ああ、社交界デビューさせなければ、周りから良からぬ憶測を生むというのに…あげく、姫様の功績はすべて自分の物にしていたんだからな」
調べた書類を見れば、見るほど虫唾が走る。
領民の為にできるだけ税金を安くする為に計画した処置や、懇意な関係にある商会との手紙のやり取りに心配りをしていたのはオリヴィア様だと言うのに、シャリエール家の姫は自分だと思い込み。
シャリエール家の令嬢の功績は全て自分にあると思い込むとは頭がおかしいと思った。
あげく、オリヴィア様に届けられた宝石やドレス等は自分宛てだと思い込んで自分の物にしていた事も解り、本人は自覚なしにオリヴィア様を追いやっていたようだ。
こんな質の悪い人間はいないだろう。
そう思うと、あの女を彼女達に任せたのは間違いではないかもしれない。
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