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第四章未来への扉

4.自称乙女

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何故、ここにいるんだ?
他のメイドはどうしたとお思ったが、他に誰もいなかった。


「やぁだ!殿下ったら!油断大敵よ!」

「何所から入った!」

「もう、おまぬけさん。私程度の侵入を防げないんじゃ、大切なものを守れなくてよ」


ぞわっと、寒気がした。
頼むからこれ以上近づいてこないでくれ。


ああ、オリヴィアが唖然として固まっている。

「あっ…あの、彼女は?」

「ああ、彼は…」

「きゃああ!やっぱりきゃわいい!」

「うっ!」

おい!
何、馴れ馴れしく抱き着いているんだ!

相手は王太子妃となる令嬢だぞ!
通常なら無礼な行為とされるというのに!


「王女様から聞いていた通り、なんて可愛らしいのかしら。会える日を楽しみにしてましたのよ」

「こっ…光栄でございます。オリヴィアと申します」


オリヴィア、そんな奴に丁寧に挨拶なんて」しなくていいんだ。
無礼三昧しているんだからな。


「驚かせてしまった事をお詫び申し上げます。私、特殊部隊一番隊長のレオルド・クライアと申します。クララって呼んでくださいな」

「はい、クララ様」

「きゃああ!なんて可愛らしいのかしら!お持ち帰りしたいわ」

「ぐっ…」

「おい!」


オリヴィアが大人しいのを良い事に調子に乗るんじゃない。
本来なら、不敬罪として牢獄に送られてもおかしくないのだから。

セクハラもしているのだから、鞭で打たれても仕方ないのだからな!


「あっ…あのクララ様」

「やぁだ!ク・ラ・ラって呼んでくださいな」

「はい、クララ」

「なんですか?」

そこで距離を近づけるな!

そして気色悪いウィンクを私に向けながら勝ち誇った笑みを向けるな!


姉上の仕業なのか?
レオルドを差し向けると言うことは!


「心配しなくても王女様は何もしてませんわ」

「何?」

「もう、そんなんじゃ王太子失格ね!もっと腹黒くならないと…少しはニコ様ぐらいな腹黒さを身につけないと、大事なモノを守れないわ」

「兄上を見習うのは、ハードルが高いんだがな」

姉弟の中で一番腹黒で策士としての才能がある兄上だが、あの方は特殊だ。


努力云々でどうこうできるとは思えない。


「まぁ、ジルベルト様はヘタレですのね?無理でしょうけど」

「お前は、本当に人の神経を逆なでするのが好きだな!」

「あら?怖いですわ」

そして、それを知っていて嫌味を言うなんてなんて性格が悪いんだ!



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