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第四章未来への扉
3.噂の部隊
しおりを挟むベアトリスはその後商談の話があると言って部屋を出て行った。
女伯爵としての仕事は本当に忙しいのかもしれない。
「時間を作って来てくれたのだろう」
「はい」
「君の結婚式を誰よりも楽しみにしているのベアトリス嬢だからな」
「ジルベルト様…」
どちらが姉か解らないものね。
ベアトリスの方が私よりもずっと自立していて逞しいし、自分の足で立っているような気がする。
「面倒な手続きは終わった。婚約式が終わったら結婚式だからな…ゆっくりする暇がない」
「お疲れ様です」
「君もな」
私のお妃教育が忙しかったので二人きりでゆっくりする事も出来なかった。
「できれば二人で遠出をしたかったんだが、あの後の引継ぎなどで忙しかったんからな」
「申し訳ありません」
あのパーティーで引き起こしされた事件は、ようやく落ち着いて来たようだ。
噂はまだあるけど、少しづつ収まってきているとお姉様からも教えてもらっているけど、その所為で騎士団の皆様には多忙を敷いているようで申し訳ない。
「彼等には厳しい監視がついている。他国に出すわけにもいかないのだ…しばらくは特殊部隊に任せよう」
「はい、ですが…その部隊の隊長様にご挨拶をしたいのですが」
流石に挨拶もしないなんて無礼だと思ったので、一度正式に会いに行きたかったが…
「会いに行くの進めない」
「え?何故ですの?」
さっきまで爽やかな笑顔を浮かべていたジルベルト様の表情が変わってしまった。
私は何か悪い事を言ってしまったのかしら?
「部隊の体長は…まぁ、腕はいいんだ。腕は…」
「はい」
「教養もあるし、騎士として立派な方ではあるんだが…何分、刺激が強いと言うか、少し変わっていると言うか。あの部隊は我が国の諜報員も兼任しているからな」
「まぁ、よほど優秀な方なのですね。聞けばアレキサンドロス様が信頼する方だと聞きましたわ」
騎士としての人としても信頼できるお方だと伺っている。
なのにどうして顔色が悪いのかしら?
「いや、その…会えば刺激が強すぎるんだ」
「まぁ、たとえ見事な筋肉とか?」
「ああ、そうだな。彼女達の筋肉はかなり刺激的だから…は?」
ふと、メイドにお茶を出されたけど。
違和感を感じた。
「なっ…お前!」
「はぁーい、ごきげんよう殿下」
「えっ…」
女性にしてはかなり野太い声で、見事な上腕二頭筋だった。
「私の噂をしているなんて嬉しいわぁ」
「えっ…噂?」
目をぱちくりさせながら私はメイドを見つめた。
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