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第三章.高潔の条件
28.頼もしい義姉
しおりを挟む私の巫女の就任に文句を言う者はいなかった。
表立って巫女の批判は女神への最大の侮辱になりえるし、傍に聖獣がいるのだから無理な話だった。
普通に考えれば自殺行為になるしね。
「本日は誠にめでたき日である!皆の者、無礼講だ!」
陛下の言葉で、音楽が奏でられ。
パーティーの仕切り直しをされてる中、警備隊と近衛騎士達が彼等を拘束していく。
「王族への不敬罪として貴方達を拘束させていただきます」
「そっ…そんな」
「私達は…」
既に戦意を無くし何もいなくなった父と、怪我をして立つこともできない母。
マリアナに至っては…
「何をするの!離しなさい!」
近衛騎士様達に拘束されて、ヒステリックに叫び声を上げていた。
「なんて回復力なのかしら」
「ある意味才能ですわね」
お姉様とマルゲリータ様が呆れながらも少し感心したように言っていた。
「普通の人間ならしばらく意識を無くしていると思うのだがな?」
聖獣の攻撃を受けても軽症で済むなんてある意味すごいことかもしれない。
「マリアナの魔力は?」
「フンっ、魔力を暴走させ、心まで黒く染まらせた所為で、精霊は消滅した。元より下位の精霊だったからな」
「そう…」
恐らくあの時、聖虎が攻撃したのは浄化の意味も込めてだったのかもしれない。
けれど、そうなると、もう魔力がないことになる。
貴族で魔力を持たないことがどれだけ形見の狭い思いをするか私は死っている。
これからどうなるのだろうか。
「同情する必要はないぞ」
「アレキサンドロス様…」
「奴らは既に大罪を犯している。しかし我が国では死刑は許されない…故に生きたまま改心させる」
「はい」
「なぁに、心配はない。私の部下が責任を持って構成させるだろう。騎士団の中には特殊な舞台があるのだ」
「姉上、まさかだと思いますが漢女部隊では?」
「そうだ。彼女達に任せる」
女性の騎士なのかしら?
アレキサンドロス様の直属の部下でもあるらしいけど、何故他の皆様は冷や汗を流しながら視線を逸らすのか解らなかった。
「彼女達のモットーは清く美しく逞しくだ」
「はっ…はい」
「大丈夫だ、すべて私に任せてくれればいい。君は何も心配する必要はない」
なんだか申し訳ない気持ちになるけど、王族にまで手を出した以上は私が介入することはできないだろうと思い、決定に従うしかなかった。
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