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第三章.高潔の条件
17.お披露目
しおりを挟むジルベルト様に手を引かれ、私はパーティー会場に姿を見せる。
煌びやかなパーティーは眩しく感じるも、安心させてくれるようにジルベルト様がエスコートをしてくれた。
ダンスホールの中心を歩きながら私達を見つめる視線。
「大丈夫だ、顔を上げてくれ」
「はい、ジルベルト様」
正式に私はジルベルト様の婚約者として紹介される。
だから毅然としなければと思っていたけど。
「皆、本日は良く来てくれた。今宵はめでたき日である」
玉座に座る国王陛下が皆に言葉を贈った。
「この場で皆に嬉しい報告がある。我が息子のジルベルトを正式に王太子として立太子することが決まった」
え…?
「長らく王太子を決めるのに時間がかかっておりましたが、正式にジルベルトを立太子することをここで宣言しますわ」
「我が王国の若き太陽に加護を!」
王妃陛下とアレクサンドロス様の言葉に大きな拍手が送られる。
「そして、隣にいる令嬢は、オリヴィア・ノーチェスト公爵令嬢だ。ジルベルトの婚約者で時期王太子妃だ」
今なんと?
誰が王太子妃?
「ジルベルト様…」
「すまないオリヴィア…」
申し訳なさそうにするジルベルト様は私に何も言わなかった。
でも、よく考えれば解ることだ。
ジルベルト様が王太子として相応しい器を持っておられた。
ただ後ろ盾が必要だった。
それに、王子妃となるならば、公爵家に養女として迎えなくても可能だったはず。
最初から外堀を埋められていたのかと思う。
それに王妃陛下にマルティーヌ様との会話を思い出せば想定できるのに気づかなかった私は、なんて鈍いのかしら。
「難しく考える必要ないのだ。オリヴィアは一人ではないのだから」
「アレクサンドロス様…」
「まぁ、王太子妃として、外交官の勤めもしてもらうことになるが…私達が支えていく」
「そうですわ。私達がいますのよ?これ以上の心強い味方はいなくてよ?」
確かに。
社交界の華と呼ばれるファッションリーダーのマルガリーテ様。
辺境貴族筆頭であり文官を務める父君を持つナウシカ様。
下級貴族代表で代表の令嬢のアナスタシア様。
そして、王弟殿下の息女であり私の姉であるお姉様。
これ程の心強い味方はいないかもしれない。
むしろこれだけの協力者がいれば国を乗っ取ることも可能で、貴族派を抑え込むことも簡単かもしれない。
「まぁ、彼女達を手名付けた時点で、君は王太子妃候補と思われていたらしい」
「えっ…そうなのですか」
「極めつけ、君が巫女様だった事実が明らかになれば、王家は君を逃すことはまずない」
色々回りまわってなった結果なのだと知らされてしまった私に拒否権はなかった。
私自身も拒否するつもりはなかったが…
「そんなの認められないわ!」
ここでやはりと言うべきか、異論を唱える者がいた。
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