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第三章.高潔の条件

6.恋よりも友情を選んだ日

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何で一時でも、愛情を抱いたのか解らないわ。

今なら解るわ。
あの時の私は本当に愚かだったのだと。

認めて欲しいが為に何も見えていなかったのだと。


「幼少期私は貴方を思ってました…ですが、目が覚めたのです」

「何をだ」

「私は貴方を愛へは勘違いだと。だってそうでしょう?誕生日や行事ごとで一度だってお祝いの言葉も贈り物だってありませんでしとたわ。まともにエスコートされて事もほとんどなく、常にマリアナ様に愛を囁き、私はついででしたもの…いいえ、都合のいい存在でしたわね」

例えば姉と一緒にお茶をしていても支払いは常に私が支払っていた。

「貴方にとって私は財布…いいえ、ただのお金を得る為の存在でしかありませんでしたね?私が送った贈り物を売っていたことも知ってますわ」

「えっ…」

「偶然、町で売られているのを目にしましたし…」


あの時の苦痛はしっかり覚えている。
何処の世界に婚約者から送られた贈り物を下町で売るのか。

真面な商会に売るならばいざ知らず。


「それでも私は貴方に愛される努力をしました。貴方の望み通りいたしましたわ…だけど、無意味でした。貴方は伯爵家のお金で遊び歩き、勉学を疎かにして…あげく私の大切な親友を馬鹿にしました。あの時に私は貴方を見限りました」

「なんてことを言うんだ!君は婚約者よりも友を選んだのか!」

「偽りの愛よりも心が通じた親友を選ぶのは当然ですわ。貴方とマリアを比べるまでもありませんわ」


幼い頃から私の心の支えだったマリア。
なのに貴方は何を言った?


「マリアを庇うのは同情だと申されましたね?私はそんな女だと思っておられたのでしょう?」

「それは君が…」

「何か都合が悪ければ、私が悪い…いい加減にしてください。私が傷物になって早々に婚約を解消して、手紙も出さなかった薄情な人をなんていうかご存じですか?」


この男に何を言っても無駄だと思ったけど、最後ぐらい言っても許されるでしょう。



「貴方のような男性をゲスの極みと言うのですよ」


貴族の令嬢らしく微笑みながら、しっかりとした口調で言い放つ。


「おっ…俺が…」

「ええ、婚約者がいながら他の女性に愛を囁く不義を働く男性と結婚なんてしたら。将来は日陰で暮らすだけですみません。出家した方が幸せですわ」


「貴様!調子に乗るなぁぁぁ!」


逆ギレしたブライトン様が私に向かって魔法を発動しようとした。


「お前ごときが!貴様は俺の為に生き、俺の為に死ねばいいのだ…身の程を弁えろ!」

追い詰められたブライトン様は私を殺す勢いで魔法を放とうとした。


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