偽りの家族を辞めます!私は本当に愛する人と生きて行く!

ユウ

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第三章.高潔の条件

5.公爵令嬢の嘆き

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ありえませんわ!

何て頭の悪い方ですの?


「無礼者!軽々しく私の妹に近づかないでください」

「は?」

「先ほどから私の妹を軽々しく名前で呼んでますか、言葉を改めなさい。何時から伯爵令息は公爵令嬢に命令できるようになりましたの?彼女は公爵令嬢ですのよ」


前々から頭が悪く態度も大きすぎると思ってましたが、まさかここまで酷いとは。
貴族社会の秩序を乱す行為ですわ。


「王族として、貴族社会の風紀を乱す愚かな行為を慎みなさい。そしてすぐに我が妹に詫びなさい。彼女はジルベルト殿下の妃となる方。無礼は許されませんわ」


「身の程を弁えなさい。不敬罪だけでは済みませんことよ」

「リヴィア様に近づかないでください。汚らわしい!」


私達はオリヴィアを守るように睨みつける。


「何を言っている…ぐっ!」

「言葉を改めなさいと言ったのです。猿以下ですわね?言葉も理解できませんの?」

扇で顎を引き上げる。
手で触れるのも汚らわしくて仕方ありません。

「あっ…ぐ」

「私は王弟殿下を父に持ちますわ。それとも爵位も持たぬ貴方はそんなに偉いのかしら?」


扇に力入れながら見下す。
今すぐ、その顔を踏みつけてやりたいですわ。


「サマンサ様、あまり近づいてはばい菌が」

「消毒液は持参してましてよ」

「だとしても、こんな下等な生き物と関わってはなりません。貴女様は公爵令嬢ですもの」


きっぱりと言い放つナウシカ様にこの馬鹿は睨みつけ失言をした。



「なっ…田舎貴族の分際…ぶっ!」

「ごめん遊ばせ?手が滑りましたわ」


当然ナウシカ様が聞き逃すこともなく、手持ちの本を投げつけられる。


「あら、本が汚れてしまいますわ」

「大丈夫です。手袋で触れば」

マリアさんも言いますわね。
まぁ、散々オリヴィアにして来た行為を知れば当然ですわ。


「ブライトン様、私の侍女に乱暴はお止めください。お話は伺います」

「オリヴィア…公爵家に養女に入っていたとは知らなかったよ。だが、俺にふさわしくなるべく努力したんだな」

この男は本当に頭が悪いですわ。

何を言っても人の話を全く聞かないのですから。


「理解しがたいですわ。私と貴方は既に他人です」

「何を言っているんだ。俺達は婚約者で…」

「貴方の婚約者はマリアナ・シャリエール様ですわ。何を世迷言を言ってますの?両陛下もお二人の婚約を承認されております。良かったですわね」

「はぁ?」


淡々と話すオリヴィアは冷静で安堵しましたわ。
ここで感情的になった方が負けですし、元よりオリヴィアには才能がありましたもの。


なんの問題もありません。

「馬鹿な…学園でも、そんな噂が流れていた。ありえないだろ!」

「何を、申されますの?真実の愛を貫いたと噂になっていますわ。ご両親そろって素敵ですわね」

「違う!俺はあんな女なんて愛してない!君は俺を愛しているんだろ…ならば!」


この男、本当に屑ですわね。
過去に思いを寄せていたとしても自分を見捨てた男を未だに愛しているなんて思うわけないでしょうに。


そんなことも解らないのかしら。

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