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第三章.高潔の条件
1.生徒指導室
しおりを挟む学園内でマリアナ達が勝手に魔法を使った事が知られ、警備隊は直ぐにマリアナ達を拘束して生徒指導室に連れていかれた。
本人は全く反省の色はなく、校舎でも騒いでいたことは耳に入っていた。
そして何故か俺は生徒指導室に呼ばれていた。
「此度の一件は聞いているね」
「はっ…はぁ」
「今回の騒動は許されることではない。彼女は幾度となく学園の決まりを破った…これ以上騒ぎを起こすならば学園に置くわけにはいかない。卒業を待たずして学園側としては君達に自主退学を進めたい所だ」
「は?」
校長の言葉に耳を疑った。
騒ぎを起こしたのはマリアナであって自分は何もしていないはずだ。
「今…なんと」
「聞こえなかったかね?君達に自主退学して欲しいと言ったのだ」
「何故です。騒ぎを起こしたのは彼女で、私は関係ありません!」
マリアナが癇癪を起して、最近は問題ばかりを起こしている事に頭を抱えた。
今までは上辺だけの付き合いで、マリアナがかなり傲慢で我儘だと知らなかった。
あげく浪費も激しく、食事やお茶をすれば必ず俺が支払うのは当然である事もそうだが、何かにつけてお姫様扱いをさせようとする。
これまでは、その我儘が可愛いとさえ思った。
しかし、頻繁に我儘放題をされては困るし、懇意いしていた飲食店や服飾店からは入出を禁じられた。
その理由はマリアナの態度の悪さだった。
店側からは、そんなに嫌なら他所の店にどうぞと言わんばかりに締め出される。
それだけではなくラコール家では、婚約者を見捨てて姉だけを連れてその場から逃げたことにより完全に見放されてしまった。
次男である俺は跡継ぎになれず、シャリエールに婿養子に行くことが決まっていたが、社交界では婚約解消となっているのが噂になっていた。
そんな噂を信じていないのだが…
「何を言うんだ。君の婚約者だろうに」
「は?」
「君と彼女は愛し合う恋人で、婚約者に一方的な婚約破棄をしてまで選んだのだと言うじゃないか」
何を言っているのか解らなかった。
俺の婚約者はマリアナじゃなくてオリヴィアのはずだ。
「卒業したら二人は結婚すると聞いているが。二人は家督を継がないで行くのに大丈夫なのかね」
「私達も心配していましたのよ?お世辞にも貴方達の正式はいいとは言えませんし」
「いえっ…あの!」
オリヴィアと婚約しているはずなのに、マリアナの婚約者と認識されている。
「シャリエール夫妻も真実の愛を貫きましたが、親子そろって不義を働くとは」
「ええ、親子そろって似た者同士とは…」
不義だと?
マリアナの話では大恋愛の末に結婚した二人は真実の愛を貫いたと聞いていた。
社交界でも二人を羨む者は多かったはずだが、教師達の言葉は真逆に聞こえた。
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