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第二章.新たな婚約
閑話4.舞台裏
しおりを挟む「やっぱり、逃げ道を無くすべきですね」
私達は再び公爵家の邸にて作戦会議を行っていました。
まずはジルベルト様にオリヴィア様に口説いていただかないことにはどうにもならないのですが、サマンサ様の走曰く、あの方は少々ヘタレだそうで。
「このままでは口説くこともできませんわよ」
「ナウシカ様、もう少しオブラートに」
「甘いですわ!」
チョコレートパフェよりも甘すぎますわ!
本日の幹事は私が勤めることになった以上は私が主導権を握らせてもらわなくてはなりません。
「恋も仕事のスピードです。時間をかければいいわけではありませんのよ?」
「でもゆっくり愛を育むのも必要では?」
「アナスタシア様、お二人にそんな時間はありませんわ。早く婚約して学園に知らしめないと‥あの勘違い女が日が余計な事をする前に!」
「明け透けですわね」
「事実です!」
またろくでもないことを考えそうで、怖いですわ。
とにかく、私の予想では、オリヴィア様がジルベルト様に好意を持っているのは確実。
あの方は根が優しい分、優しくされると弱いのですわ。
けれど誰でもというわけではありません。
「最初はロマンチックな作戦をと思いましたが、ジオルベルと様のヘタレ度120%を見て断言します!無理ですわ」
「そんな容赦ないことを!」
「サマンサ様は身内贔屓ですからね…こうなったら告白せざる得ない状況に追い込むのですわ!」
何時までもチンタラしていられませんわ。
「どうするのです?」
「そうですね。危機感を持たせて…他の殿方が狙っているとでも言って発破かけましょう」
「ライバルを作るのですね!素敵」
ロマンス小説にもよく描かれていますもの。
恋とはライバルや障害があれば燃えるのですから、手短に近衛騎士の方に犠牲になっていただきましょう。
「その話、私も噛ませてくれ!」
「「「王女殿下!」」」
何処で聞いていたのか、オリヴィア様と一緒に療養地にいるはずの王女殿下現れ驚きました。
「楽しそうな話をしているじゃないか」
「あっ…これは」
まずいですわ。
私達は、第三王子殿下のお妃候補ののままなのに。
「王女殿下、これは…」
「隠さなくてもいい。君達は愚弟の為に一肌脱いでくれようとしているのだろう?君達が妃の座を心から望んでいいないのは知っている」
「え?」
「君達は優秀な令嬢であり、国を愛しているのだからな…私は感激した」
お怒りではないようですわ。
ひとまず安心した私達は王女殿下も一緒に作戦を考えることにした。
「この作戦だが、ジルベルトを誘導して本音を言わせよう」
「それは…」
「この際ロマンチックなシチュエーションは不要だ。あの甲斐性なしはとことん追い込んで、その場でオリヴィアの愛を告白させる。そして、そこにオリヴィア嬢が鉢合わせするんだ」
「それは…」
かなりスピーディーですが、ジルベルト様が哀れですわね。
「あの馬鹿は、未だに手を握ることしかできん。見ていて鬱陶しいわ」
「王女殿下‥」
「男らしくフラれるならフラれてしまえばいいのだ。ダメだったらスパッと諦める」
なんと男らしい方なのでしょう。
ですが、長らく男児に恵まれなかった王室が一時でも王女殿下を王太子にするべく教育をした所為ですわ。
男装の麗人として御令嬢の熱い視線を独占した頃もありますし。
「では、その作戦で」
「ああ、愚弟を逃げられないようにする。なぁに、任せてろ」
なんと心強いのでしょうか。
他の皆様は心配そうにしていましたが、その翌日。
王女殿下より吉報が届きました。
作戦は大成功だったようです。
流石ですわ!
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