偽りの家族を辞めます!私は本当に愛する人と生きて行く!

ユウ

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第一章.婚約破棄騒動

30.婚約解消から婚約破棄に

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事故当時の報告を受け後に、マリアナ姉様は婚約解消になった。


でも社交界では婚約破棄となったと噂されている。
どっちも同じだと思われているが、かなり違いがある。


婚約解消はあくまで温和に解決する手段。

婚約破棄は片方が不貞をして、一方的に破棄することを意味している。


外聞もかなり悪い。
当初は解消ということで話を持ち込んだが、マリアナ姉様の態度によりジュリア様は婚約破棄を告げた。


両親からすれば王家から告げられては何も言えない。

しかし、ここで終わらなかった。



「この度は誠に残念だ」

「そんな、婚約解消だなんて…何故です」

「マリアナ!止めないか…」

「だって!」

ジュリアス様と同席視されたのは王女殿下だった。
本来は互いの親同士がいるいのが普通だったが相手は王族なので、王女殿下が王妃陛下の代理で来ておられたそうだ。


「私は王太子妃候補だったのよ?婚約解消になったら他のお相手を探すなんて無理だわ」

「だが、王家の決定なんだ。我らにどうしようもないだろ?」

「王家だからってこんなの勝手だわ!」

泣きながら叫ぶマリアナ姉様は本当に馬鹿だと思った。
ここでさらなる醜態を曝し、言ってはいけない言葉までも言う。


「王太子妃?何を言っているんだ?私は第一王子だが、立太子する可能性はない」

「え…でも!」

「第一王位継承権は姉にあるが、私は王位継承権は返している。何を勘違いしたら私が立太子すると思ったんだ?」

「えっ…はぁ?」


これには両親も初耳だったのか唖然とした表情をしている。

「だって…第二王子殿下無理で…第三王子殿下は妾腹の子なのに」

「マリアナ!」

流石にまずいと思った父が咎めるも、あまりにも気が動転している所為か、失言を繰り返す。


「何だと!ジルベルトを!」

「二コルをそんな風に思っていたのか…やはり、貴女は王子妃になる器ではなかったな」

「どういうことですの?」

未だに解ってないわね。
ジュリアス様は最初からマリアナ姉様を正妃に迎えるつもりはなかった。

「貴女はあくまで妃候補でした。ですが、相応しくないとなれば婚約は解消し、別の女性を妃にすることが当たり前です」

「そんな!酷い…」

「酷い?酷いのはどちらだ…私の大切な弟を侮辱するような女など、妻に迎えられるか。本来ならば婚約解消を行い、こちらもそれなりの事をするのが筋だが…」

「ええ」


お二人の表情は険しく恐ろしさを感じる。
両親ガクガクと震えながら、黙っているだけだった。


「この場で婚約破棄とさせてもらう!」

「これまでお妃教育にかかった費用も返還していただきます」

奈落の底に叩き落とされというのにピッタリだった。

「手続きの為、王宮に来てもらうことになるだろうが…」

「殿下…お待ちを!」

「それから妹君だが、未だに意識は戻らない状態だ。しかも目が覚めても今までのよう生活は望めないだろう…哀れな」


「そっ…そんな」


今まで忘れていたかのように思い出す。
事故が起きた当時は心配はしていても、マリアナ姉様の無事を最優先し、精神ケアをするあまりほったらかしだった。


「体には全身の火傷を負っていた。マリアナ嬢…君は妹を殺しかけたんだ」

「違います!殺す気は無くて!」

「なかったとしても、見捨てて逃げた事実は変わらない。にもかかわらず彼女は命がけで私の従兄弟を守ってくれた」


――従兄弟と言われ驚くマリアナ姉様。

「貴女達を護衛していた隊長は、私達の従兄弟です」

「そっ…そんな」

「ちなみに彼は公爵家の次男で私の婚約者。その意味を知っていて?」

笑いながらも目が笑っていない。
これほど恐ろしい笑みはないだろうと思いながらも私は静観していた。


「我が王家は自由恋愛を許されている。故に私も真実の愛を見つけたのでな…伯爵夫妻を見習わせてもらおう」

「お待ちください…私は」

「話は以上だ。失礼する」


その言葉を残し去っていく。

残された両親とマリアナ姉様は絶望しながらも、ジュリアス様が見つけた真実の愛の相手を恨んでいた。


けれど、そのすべてが自業自得の様に思えた私は声をかけることはなかった。

今後待っているのは他人からの誹りや中傷だけではない。

妹を見殺しにした姉と娘を顧みない酷い両親として後ろ指を指される最悪な日々だろう。

そしてブライトンも例外ではないと予想した。



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