偽りの家族を辞めます!私は本当に愛する人と生きて行く!

ユウ

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第一章.婚約破棄騒動

22.王家の事情

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我がウィステリア王国の王族は複雑だった。
俺の姉であり第一王女は異母兄弟に当たり、前王妃と国王の間に生まれ、第一王位継承権を持っている。

真っ当な臣下は、姉を時代の王に望む声があるが、馬鹿な貴族達を刺激しないために隠していた。

姉は王位に興味がなく、安全性を考えて第一王子のジュリアスが相応しいと思っているようだ。
現在の王妃陛下の実子であるジュリアス兄上は少々複雑な立場だった。

前王妃陛下が亡くなられた後に側妃として入った母は妾ではなく、王を守り、後の王妃陛下を守りトカゲ尻尾キリをするために迎えられた。

とは言え、王の寵愛を誰よりも受けていた。
通常なら王妃陛下と険悪な関係になるのだが、王妃殿下の実家は隣国で貧しいことから母が支援していた。

何より母は王妃陛下の体面を汚すような真似をせずに一歩下がっていた。

けれど、他の側妃からはかなり睨まれていたのだが。

俺の立場はかなり複雑だった。
側妃の子供である俺は王位に興味は無いし、兄達と争うつもりはない。

だが、王宮内では王妃派と側妃派で別れていた。
迷惑な事に、王妃派の強硬派は俺達をも巻き込んでいたのだ。

迷惑な話だ。
兄妹で骨肉の争いをさせようとしているのだから。

だが、俺はそんなことをしたくない。
半分しか血が繋がらなくても姉上や兄上が大好きなんだ。

何より、危うい立場にいる第二王子である、兄上を守ってさげたいんだ。

優秀であるのに生まれた時から体が弱く、臣下からも心無い言葉を言われ続けている。


誰よりも優秀なのに。

優しくて強い兄を傷つけたくない。
けれど大人達は勝手な事を言い、あげくの果てには。


あの女が言った事が許せなかった。


「おめでとうございますマリアナ様」

「ジュリアス様は優秀でいらっしゃいますから、これはもう決まりですわね」

「でも、第二王子の二コル様が…」


お茶会の席で言われた言葉。
たわいないおしゃべりで、最初は気にしなかったが、あの女の言葉は俺を、そして俺達兄弟を侮辱するような言葉だった。


「まぁ、二コル様は無理ですわ。生まれつき体も弱く、離宮から出られないのですから」

「そうですね」

「それにあのような方が表に出れば…ねぇ」


――あの女!
なんて傲慢で上から目線なんだ!
あげく、自分は既に正妃気取りでいるのか?

婚約はあくまで候補だ。
正式な誓約はしていないし、神殿で婚約の契りを交わす儀式は行われていない。

にもかかわらずあの女は。

この時俺は、あの女が悪女に見えた。
社交界で聖女等と呼ばれているが、悪魔の間違いではないか。


そう思っていた最中。


俺は本物の聖女に出会ったんだ。


それがリヴィアだった。

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