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第一章.婚約破棄騒動
21.捨てられた妹
しおりを挟む領地にて野生の魔獣に遭遇することが多かった私は、彼等が学園で行う演習と同じように行くはずがない。
何故なら学園の演習ではテイマーの皆さんが躾をしてある程度加減しているから。
でも、相手は野生でレベルアップだってする。
教科書通りにして攻略できるはずがないのに、どうして解らないの?
「急いで馬車を!」
「待って、近衛騎士の皆様がまだ!」
「何を言っているんだ。馬鹿か!彼等は俺達を守るのが仕事だぞ」
「そうよ、大体、貴女がちゃんと結界を敷けないからこんなことになったのよ!」
馬車の中で怯える二人は、こうなった原因を全て私の所為にした。
御者の方は真っ青な表情で私達を見たが、もはや傷つきもしなかったし、呆れてしまった。
しかし、そんなことをしている暇はない。
馬車の窓を割った後にホワイトタイガーはさらに牙を突きつけて来た。
「きゃああ!いやぁぁ!」
「マリアナ様!」
悲鳴を上げる姉を守りながら風の魔法を使ったブライトンは私を突き飛ばした。
「寄るな化け物!」
そして風魔法を使って攻撃したが私も一緒にその攻撃を受けた。
「きゃあああ!」
「しまっ…」
私は風の魔法で全身に痛みが走った。
視界に血が舞い、私はブライトンにで切り刻まれたのだと知るも、ブライトンは私を見ることもなく御者を脅し、馬車を走らせ去っていく。
ああ…本当に最低な人。
あの人にとって私は守る価値もないのかと思う一方で姉は王子妃でもあるから守るのは当然。
何より愛しい人を守るは当然のかもしれない。
そっか…
私はいてもいなくてもいい存在。
解っていたのに。
「ガゥ…」
痛み傷を抱えながら私は傍にいるホワイトタイガーを宥めなくてはと思った。
「ハァ…ハァ、ごめんさい。驚かせてしまって」
「グルゥ―…」
攻撃をされてしまったから警戒して敵と判断しているのかもしれない。
下手をすれば食い殺されるけど、一か八かだった。
「お願いします。牙を…牙を収めてください。どうか、群れを止めてください」
ホワイとタイガーの群れが襲いかかろうとしている。
近衛騎士の皆さんは攻撃せず、できるだけ防御しているのは傷受けない為だった。
「私達に貴方と闘う意思はありません。傷つけてごめんなさい…どうか」
知性はあっても理性が無い魔獣は多い。
でも獣で理性を持つ魔獣、とくに群れを率いる親等は理性的だった。
「どうか…お願いします」
頭を下げながら訴えながらも私は意識が遠のく。
このまま気絶したら私は死んでしまうのかしら?
でも、その方が喜ぶ人が多いかも。
心残りなのは、ベアトリスの晴れ姿を見たかった。
後は、こんな私に優しくしてくださった皆さんに何も言えずにいたことだ。
そして…
私の初めてのお友達。
大人になったら会おうと約束した彼女との約束を果たせないことが無念だった。
「オリヴィア!」
視界が真っ暗になる中、誰かが私の名前を呼んでいた気がした。
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