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第一章.婚約破棄騒動
14.虐め
しおりを挟む学園生活は思ったよりも悪いものではなかった。
同じクラスにマルガリーテ様とナウシカ様がいらした。
二人は相変わらず火花を散らしていたけど、仲良くしてくださっていた。
そんな折、私は魔力は低いけど模範優等生であることから生徒会に入ることになった。
表だって活躍するのは生徒会長と副会長だけど、私は書記を担当することになった。
後、書記は書類の整理だけでなくお茶の準備も大事な仕事なのだが、もう一人いないことに気づく。
「そういえば彼女は…」
生徒会の一員である例の少女は何処にいるのだろうか。
「資料を取りに行ったきりですわね」
「迷っているのではなくて?」
この学園は広いから迷うのも仕方ないかも知れない。
「私、探してきます」
「ちょっと、オリヴィア様!」
サマンサ様の言葉を聞く前に私は生徒会室を出て行った。
「何処にいるのかしら?」
図書室を探したけど見当たらなかったし。
後は何処を探したらいいか、近くを探し回ると中庭の方に出てしまった。
「…な…さ…よ!」
ん?
話し声が聞こえる。
中庭から少し離れた庭園の方だった。
人気の少ない場所で口論する声が聞こえた。
「えっ…あの人達は」
後姿を見て直ぐに誰か気づく。
何度か姉と一緒にいた令嬢だったが、雰囲気が重く感じる。
「目障りなのよ!」
「我が校の品位をどれだけ下げれば気が済むの…あげく、ジュリアス様にジルベルト様にまとわりつくなんて!」
数名で誰かを囲んでいるように見えた。
一人を寄ってたかって!
「お止めなさい!!」
私は考えるよりも先に体が動いていた。
「貴女達は何をされているのですか。このような人気のない場所で」
「オリヴィア様!」
「私達は…」
罰の悪そうな目をする彼女達。
やっていることは虐め以外の何者でもない。
「私達は彼女に注意を‥そうですわ。私達は貴女様のお姉様の為に」
「この賊民を…」
さも自分達は正しいとでもいいたげだった。
平民と言う理由で、虐げようとしていることが不愉快だった。
しかも彼女達はあくまで姉の為にしてやっているのだと言うが、違うでしょう?
「姉がそうしろと命じたのですか」
「えっ‥」
「では、直接姉にやめていただくように申し上げましょう」
「そのような!」
予想しなかったのか一人の令嬢が慌てる。
下手に姉の耳に入れば、面倒な事になる思ったのか隣いる令嬢が焦りながら言葉を放つ。
「そっ‥その者は、貴女の姉君の婚約者であるジュリアス様に付き纏っているのです!」
「そうですわ!マリアナ様が気の毒です!」
姉が直接命令したわけではないけど、関係しているのは確実だった。
第一王子の婚約者である姉に媚びを売って、あくまで姉の為にと言いながら虐めをしているも同じ行為。
「なんて情けない…」
私は今まで穏やかに、できるだけ攻撃的な言葉を使う事はなかった。
言葉は時として暴力になるから。
心を傷つける暴力は精神的なダメージを与える。
彼女達はその暴力を行ったのだ。
貴族としての誇りを汚したのだから。
――許せない。
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