偽りの家族を辞めます!私は本当に愛する人と生きて行く!

ユウ

文字の大きさ
上 下
14 / 137
第一章.婚約破棄騒動

13.噂の少女

しおりを挟む




そういえば入学式の時に見た少女を思い出す。


「そう言えば今年は平民の方が入学されたのですね」

「ああ…だが」


「きっと、すごい努力をされたのでしょうね」


「えっ…」


私には想像できない程の血の滲む努力をされたのだと思う。


「貴族ばかりが通う学園に学費免除とは言え、ご心配でしょうに。さぞかし見識のあるご両親に育てられたのでしょうね」


なんだか親目線になってしまう。
前世ではお世辞にも優秀ではなく、むしろ出来が悪かった。

勉強も運動も得意じゃなかったけど、私の両親は教育に関してはお金を惜しまなかった人だ。

今なら痛いほど解る。
本当に大事に育てられたのではないのか?


「私、その方のご苦労を思うと…」

「ああ、彼女は血の滲むような努力をしたんだ」

ふと、ジュリアス様の表情は優しい表情をしているの気づく。

もしかしてその生徒とかかわりがあるのだろうか?
でも、特待生ならば王族も気にするのは当然かもしれない。

特待生選ばれると言う事はそれだけ強大な魔力を持つのだから。

その一方で平民で強い魔力を持って入学したとなれ嫉妬の対象になるかもしれない。


「私達は王族として、生徒代表として彼女を守る義務がある」

「だが、学年も違うから限度もあるし…下手に庇えば彼女を孤立させてしまう」


確かに王族であるお二人が表に立って庇えば立場が悪くなる一方だった。


「マリエル嬢にも相談したんだが…」

「どうも彼女とはそりが合わないようでね」


二人が困った表情をする。
お姉様は身分絶対主義で、新貴族の事も良く思っていない。


典型的な家柄重視の保守派の旧貴族的な思考を持っている。

そう教育されてきたからなのだけど。
でも、新貴族を否定することはお母様を否定することになる。

それを理解しているのだろうか。


「できたらでいい。彼女を頼めるか」

「私でお役に立てるでしょうか…」

「いや、君なら大丈夫だ。彼女達の様に誑しこ…いや、仲良くなれるさ」

今誑し込むって言わなかったかしら?


聞き間違いよね?
新生活がスタートした私は不安と期待感でいっぱいだった。



けれど、現実は甘くなかった。


「オリヴィア、今年は平民の生徒が入学したことは知っていて?」

「はっ…はい」


昼の休憩時間、私はお姉様に呼び出された。


そして聞かされたのは平民の少女のこと。


「彼女には近づかないように。悪い噂があるわ」

「悪い噂?」


「ええ、殿下に言い寄っていると…」


はぁ?
何を言っているのか。


「いい事、絶対に関わらないで」

「でも、噂でしょ?」


真意を確かめたわけじゃない。
社交界では悪意のある醜聞スキャンダルを流して叩くこともある。


「私がそう言っているの。何度も言わせないで頂戴」

悪い子だと叱りつける様な言い方に唇を噛みしめる。

お姉様は自分が常に正しいの?

悩みながらも数日後に事件が起きるのだった。
しおりを挟む
感想 295

あなたにおすすめの小説

【完結】愛され公爵令嬢は穏やかに微笑む

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
恋愛
「シモーニ公爵令嬢、ジェラルディーナ! 私はお前との婚約を破棄する。この宣言は覆らぬと思え!!」 婚約者である王太子殿下ヴァレンテ様からの突然の拒絶に、立ち尽くすしかありませんでした。王妃になるべく育てられた私の、存在価値を否定するお言葉です。あまりの衝撃に意識を手放した私は、もう生きる意味も分からくなっていました。 婚約破棄されたシモーニ公爵令嬢ジェラルディーナ、彼女のその後の人生は思わぬ方向へ転がり続ける。優しい彼女の功績に助けられた人々による、恩返しが始まった。まるで童話のように、受け身の公爵令嬢は次々と幸運を手にしていく。 ハッピーエンド確定 【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2022/10/01  FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、二次選考通過 2022/07/29  FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、一次選考通過 2022/02/15  小説家になろう 異世界恋愛(日間)71位 2022/02/12  完結 2021/11/30  小説家になろう 異世界恋愛(日間)26位 2021/11/29  アルファポリス HOT2位 2021/12/03  カクヨム 恋愛(週間)6位

毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。

克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

辺境は独自路線で進みます! ~見下され搾取され続けるのは御免なので~

紫月 由良
恋愛
 辺境に領地を持つマリエ・オリオール伯爵令嬢は、貴族学院の食堂で婚約者であるジョルジュ・ミラボーから婚約破棄をつきつけられた。二人の仲は険悪で修復不可能だったこともあり、マリエは快諾すると学院を早退して婚約者の家に向かい、その日のうちに婚約が破棄された。辺境=田舎者という風潮によって居心地が悪くなっていたため、これを機に学院を退学して領地に引き籠ることにした。  魔法契約によりオリオール伯爵家やフォートレル辺境伯家は国から離反できないが、関わり合いを最低限にして独自路線を歩むことに――。   ※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています

【完結】聖女と結婚ですか? どうぞご自由に 〜婚約破棄後の私は魔王の溺愛を受ける〜

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
恋愛
【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264) 「アゼリア・フォン・ホーヘーマイヤー、俺はお前との婚約を破棄する!」 「王太子殿下、我が家名はヘーファーマイアーですわ」  公爵令嬢アゼリアは、婚約者である王太子ヨーゼフに婚約破棄を突きつけられた。それも家名の間違い付きで。  理由は聖女エルザと結婚するためだという。人々の視線が集まる夜会でやらかした王太子に、彼女は満面の笑みで婚約関係を解消した。  王太子殿下――あなたが選んだ聖女様の意味をご存知なの? 美しいアゼリアを手放したことで、国は傾いていくが、王太子はいつ己の失態に気づけるのか。自由に羽ばたくアゼリアは、魔王の溺愛の中で幸せを掴む!  頭のゆるい王太子をぎゃふんと言わせる「ざまぁ」展開ありの、ハッピーエンド。 ※2022/05/10  「HJ小説大賞2021後期『ノベルアップ+部門』」一次選考通過 ※2021/08/16  「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過 ※2021/01/30  完結 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう

【コミカライズ決定】婚約破棄され辺境伯との婚姻を命じられましたが、私の初恋の人はその義父です

灰銀猫
恋愛
両親と妹にはいない者として扱われながらも、王子の婚約者の肩書のお陰で何とか暮らしていたアレクシア。 顔だけの婚約者を実妹に奪われ、顔も性格も醜いと噂の辺境伯との結婚を命じられる。 辺境に追いやられ、婚約者からは白い結婚を打診されるも、婚約も結婚もこりごりと思っていたアレクシアには好都合で、しかも婚約者の義父は初恋の相手だった。 王都にいた時よりも好待遇で意外にも快適な日々を送る事に…でも、厄介事は向こうからやってきて… 婚約破棄物を書いてみたくなったので、書いてみました。 ありがちな内容ですが、よろしくお願いします。 設定は緩いしご都合主義です。難しく考えずにお読みいただけると嬉しいです。 他サイトでも掲載しています。 コミカライズ決定しました。申し訳ございませんが配信開始後は削除いたします。

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―

望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」 【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。 そして、それに返したオリービアの一言は、 「あらあら、まぁ」 の六文字だった。  屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。 ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて…… ※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~

ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。 そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。 シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。 ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。 それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。 それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。 なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた―― ☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆ ☆全文字はだいたい14万文字になっています☆ ☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆

【完結】無能な聖女はいらないと婚約破棄され、追放されたので自由に生きようと思います

黒幸
恋愛
辺境伯令嬢レイチェルは学園の卒業パーティーでイラリオ王子から、婚約破棄を告げられ、国外追放を言い渡されてしまう。 レイチェルは一言も言い返さないまま、パーティー会場から姿を消した。 邪魔者がいなくなったと我が世の春を謳歌するイラリオと新たな婚約者ヒメナ。 しかし、レイチェルが国からいなくなり、不可解な事態が起き始めるのだった。 章を分けるとかえって、ややこしいとの御指摘を受け、章分けを基に戻しました。 どうやら、作者がメダパニ状態だったようです。 表紙イラストはイラストAC様から、お借りしています。

処理中です...