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第二章
14盆栽
しおりを挟む私の細やかな趣味は盆栽だ。
前世の頃からガーデニングや盆栽は大好きだった。
特に一番好きだったのは鉢植えの林檎だ。
通常の林檎の木とは異なり私は念入りに育てていた。
「うんうん、いい感じに育っている」
それにしても私が再び選定を受けるなんておかしいな。
「あら?どうして」
「だって私、魔力底辺じゃん。ぐっちゃんだってそう思うでしょ」
私に話しかけるのは何時も大樹に座っている白いお姉さん。
名前はグレイスシアと言うらしいけど長いからぐっちゃんと親しみを込めて呼んでいる。
「ぐっちゃん、最近大樹の元気がないんだって」
「そうなの…学園内の大樹はこのままでは朽ち果ててしまうわ」
「可哀想だね」
「貴女、優しいわね」
ぐっちゃんは精霊さんらしい。
この学園に住み着いているらしいけど、でも他の人には見えないらしい。
「森の精霊の力が弱まっているの。彼女達は傷ついているの」
「どうして?」
「精霊は純粋な生き物で、特に森の精霊は悪意を受け取りやすい。大樹の宿主も見つからないし」
「そっか…」
ゲームではこんなシナリオはなかったけど。
色々大変なんだな。
「じゃあ、元気に出るようにお水を沢山上げるよ」
「お水よりも音楽が好きなのよ」
「じゃあ、タンバリン叩こうか?」
ここでヒロインならば美しい歌声を披露するのだろうがあいにく私はそこまでの美声はない。
ピアノやヴァイオリンと言っても精霊が好む程の腕前ではない。
「楽しいリズムで!」
「あら素敵ね」
「私タンバリンやダンスは得意なんだよね」
なんせ前世では鳴子を持って踊ろまくったから。
「精霊さん、精霊さん元気になってね!」
歌いながらダンスを踊る。
「レティー、貴女は本当に愉快ね」
「そう?陽気に愉快な方が楽しいよ」
シャンシャンとタンバリンの鈴を鳴らすと音に反応したのか小さな精霊さんも現れる。
ロバや犬に鶏と。
「これ音楽隊作れるんじゃない?」
これは前世で見た大好きな音楽隊だ。
「それそれ!」
私は調子に乗ってタンバリンを叩いて聖霊たちとダンスを踊ると。
「あれ?花弁?」
優しい風がそよぎ花びらが舞う。
「風の精霊が誘われて来たわね」
「へぇー…初めて見た」
空を見上げると大きな鳥が飛んでいる。
黄金の翼ですごくかっこいいな。
呑気私は見上げていると羽が落ちた。
「綺麗な羽。もらっていいかな」
「いいわよ」
虹色に輝く羽を胸元にしまい私は風の精霊に手を振った。
しかしその羽が何を意味するか私は理解していなかった。
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