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第一章
33生徒会へ
しおりを挟むどうしてこうなった。
何故こうなったと心の中で訴えても変わらない。
「むーん」
「お嬢様、どうなさいました?」
昼休み、カフェテラスでお茶をしながら考え込む。
「お嬢様の大好きなビスケットを残されるなんて」
「え?」
「生徒会に入られるなんて名誉な事ですわ」
確かに生徒会に入り卒業まで在籍する事は名誉な事で卒業後は王宮勤めの推薦を貰えたりするのだけど。
「うーん、何故私なのか」
「…と申しますと」
「一人推薦されるべき生徒がいるじゃない」
そうだ。
特別なのはヒロインなのに。
「例の女子生徒でしょうか?」
「そうよ」
彼女は光の魔力を持っている事から他の生徒からも特別視され。
私のような嫌われ者ではないはずだ。
現にクラスの男子にも好かれて…
「ありえません」
「え?」
「確かに光の魔力は価値のある物です。しかし価値のある物は使えてこそ意味がありますわ」
「うん…」
使えてこそってどういう事?
シナリオ通りならば、ヒロインは既に光の魔力を自由自在に扱っているはず。
「今回の火事が彼女が原因だ」
「え?」
「現場で倒れていた生徒がいてね…それが彼女だよ」
背後から声がして振り返ると生徒会の総メンバーがそろっていた。
「カステル嬢がどんな意味を持って馬鹿な事をしたか解らない。でも被害を大きくしたのは彼女の魔力の暴走によるものだ」
「暴走…」
ヒロインは魔力を生制御できない?
「光魔法とは中々厄介でね。制御できなければ毒になるんだ」
「実際、彼女は今まで厄災を呼んでましたわ」
「まったく。何故彼女のような人間が光魔法の保持者なのでしょうか?理解に苦しみますね」
「ヴォルク様、こればかりは仕方ありませんわ」
気のせいだろうか。
他の攻略対象もヒロインの事を良く思っていない。
やっぱり逆ハールートじゃないからかな?
「レティー、今後は彼女に近づかないでくれ。いや、一人で行動してはダメだからね」
「迷子になりませんよ?」
「いや…そうじゃなくてだね」
「ちゃんと人に聞きますから」
人間は学習するのだから。
それに迷子カードもちゃんと持っているから大丈夫だ。
「殿下、彼女に行っても無駄でしょう。いいですかレティシア様」
「何ですかヴォルク様」
「学園内は広いんです。万一の事がありますので決して一人になってはいけません。いいですね?」
「努力します」
約束はできないな。
だって何があるか解らないのだから。
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