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第一章

29婚約者は恋のキューピット

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うん、なんという鎌田勘違いをしているね。


「レティー…」

「グレスティア様、ウド様はこう見えて潔癖症ですわ。融通が利かないお子様です」

「おい」


事実だけでここで言うべきではないな。
もう既に暴走しているので止めるのは不可能だけどね。


「大体貴方はルクシオン様ではないのです!同じになるなんて馬鹿ではありませんの?」

「馬鹿一直性のお前に言われたくない」

「そうですわ。私は世界一のお馬鹿さん!オンリーワンですわ」

「自分で言うな!」


うんうん、普通は自分で言わないだろうね。


「殿下、よろしいのですか。ご自身の婚約者が乱心しておりますよ」

「いいのですわヴォルク様」

既に止める気もないダイアナ嬢。
うん、君の方が正しいよ。


「大体なんですの?今でも十分優秀なのに。この私への嫌味ですの?自慢ではありませんが次の試験で私は赤点を取ったら退学ですのよ?」

「自慢にならないだろ」

「私はどんなに頑張っても魔力が屑並み、なのに貴方は魔力も学力もあるのにどうして誇りませんの?グレスティア様に俺について来いぐらい言えませんの?」

「言えるか!」


売り言葉に買い言葉であるが、クラウドがこんな正確になった原因は僕にもある。
幼少期体が弱かったクラウドは両親がかかりきりで、勉強も少し遅れていた。

その間僕は王室家庭教師から学んでいた。
その所為で差は歴然だった事で口さがなく言う者に苦しみ、一部では婚約解消になった私達の事も噂になった。


グレイスティアと私はどうしても合わない。
元から友好的な関係ではなかったが、グレスティアは幼い頃からクラウドに心を寄せていた。


そんな事情も知らない第三者はグレスティアを憐れみ、クラウドを責めた。



「グレスティア様が望んで婚約したと思いませんの?」

「は?」

「第三者は仕方ない、王族が公爵家を欲すると言いますが、隣国の王族の血筋を持たれる彼女が嫌なら断りますわ。断らないのは思いがあるからですわ」


「・・・そうだったのか?」

「本当に鈍感ですわね。馬鹿ですわ」

「お前だけには鈍感だとか馬鹿とか言われたくないんだよ」

「朴念仁」

「表に出ろぉぉ!」



そろそろ止めようか。
このままでは二人の子供の喧嘩が始まるだろう。


「まるで気の利かない男ですわね」

「お前にだけは言われたくねぇんだよ!このぽんこつが!」


まぁ、誤解が解けたのだから良しとしようと思った時だ。

視線を感じると離れた場所でレティーを睨んでいる人物がいた。

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