自称悪役令嬢は嫌われるべく暗躍する！皆の幸福の為に嫌われるはずが、何故か愛されてしまいました。

第一章

20嫌われフラグ

王立魔法学園・サンタリア。
王族お抱えで王国内でも名門校であることから学費も半端ない。


貴族院ならば制服ではなくドレス等が多い。
実際に多様な乙女ゲームでは制服ではなくドレスだったけど、君花は学園ドラマも展開するので制服だった。


ただし、制服にも違いがある。
生徒会や、生徒会に近い学園に貢献した者はブランドの制服を着ることができる。
そして他の生徒もネクタイやリボンが異なっているのだ。



攻略対象や、ライバルキャラは皆生徒会の一員なので同じ制服を着ている。

対する私は普通の制服、ブレザーだった。



「ちょっと見てあの恰好」

「校則違反ではなくて」


休み時間、私はアンネローゼ様を探して廊下を探しているとクラスメイトが何やらヒソヒソ話していた。


「どうしたんですか」

「レティシア様」

「いえ、ユリティナ様の服装の事で」


視線の方を見るとスカートは短めで、アクセサリーを身に着けている。
風紀に関してはそこまで厳しくないのだけど、スカートを短くしないように、アクセサリーも許可を受けた場合のみ許される。

派手過ぎないのであれば許される。
例えカフスボタンや、気にする程ではないペンダント。

事情があって身に着けている場合。
魔力が強く、制御できない生徒は入学前に続きをしていれば許されるのだけど。


「香水だって禁じられているのに。私達は知らないと思って親切で注意したのに」

「彼女は私達に苛めだとか言って…男子生徒を味方につけて悪者にするんです」


これはいただけない。
ヒロインが孤立するのはシナリオ通りだけど、嫌われ方がまずいわ。


「皆さん、そんなに怒っちゃダメですよ」

「ですが彼女は…」

「複雑な家庭だと聞いています。彼女も王都の暮らしに馴染もうと必死なのだし…これでも食べて元気を出してください」


ポケットからダイアナ様に貰ったビスケットを取り出す。

「これはクッキーではないのですね？」

「ビスケットです」


貴族社会で焼き菓子はクッキーが主流だった。
宮廷貴族の間ではビスケットは庶民が食べるものだと言われている。

その理由はビスケットの方が甘さを控え固いのだ。
糖質が多いのがクッキーだけど前世ではビスケットもクッキーと同じとされていたけど、この世界では違う。


だけどこのビスケットはダイアナ様が新たに考案したものだ。


「クッキーよりも体に良くて美肌効果もあります」

「え？」

「ではレティシア様の美肌は…」


「いただきますわ」


美肌とはなんぞや？
そう言えば以前から私は髪の毛を褒められていた。

艶があるとか。
別に特別なことはしていないのだけど、まぁこれでヒロインの嫌われフラグは回収できたと安堵していたのだけど。




「ほぉ、彼女がレティシア嬢ですか」

「例の問題のある転入生を庇うとはブラボーですね」


私自身が新たなフラグを立たせていたとは知らなかった。