自称悪役令嬢は嫌われるべく暗躍する!皆の幸福の為に嫌われるはずが、何故か愛されてしまいました。

ユウ

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第一章

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突如現れたルクシオン様は冷たい視線を向けていた。

これは前世で見たスチルだと思ったのだけど。


「また君か」

「ルクシオン様!」


涙ぐんでいるヒロイン冷たい視線を向けながら、ルクシオン様は私を見る。


「大丈夫かいレティー」

「へ?」


嘘でしょ?
ここはヒロインを庇い手を握りるはず。

なのにポジションが変わってる?


「人前で泣くのは止めた方がいいよ。見苦しいからね…貴族令嬢ならば猶の事だ」

「そっ…それは」


「嘘泣き程見苦しい物はない。ああ、泣いて優しい言葉をかける程僕は甘くないよ」


これは…。
悪役令嬢に浴びせる言葉じゃない?


ヒロインと攻略対象と一緒にいる事で悪役令嬢が誤解をして責める。
その後すぐにルクシオンが現れるのだけど、悪役令嬢は泣きながら訴えるも更に厳しい事を告げるのだが。



まんま悪役令嬢に言う言葉をヒロインにぶつけている。


「ヴォルク、悪かったね」


「いいえ。私は別に…しかし殿下がこんなのと関わるのはいかがなものかと」



ヒロインなのに。
何でこの正解は悪役令嬢にもヒロインにも手厳しいの!


「勉強を見てくれていたんだね」

「見る程では…」

「彼女は理系が苦手でね。幼少期は領地でひっこんでいたから少しばかり不慣れな事もあるんだ。仲良くしてくれると嬉しい」


「殿下そうおっしゃるなら…」

そう言いながら鞭を取り出す。


あれはヴォルクの友情ルートが発生した時に取り出すアイテムだ。
ヒロインがルクシオンルートに入ると、自動的にヴォルクはヒロインの教育をするようになる。



まずくない?


「王太子妃になられるのでしたら相応しい教養を身に着けていただかなくてはなりません」

「ひぃ!」

「その奇声もすぐに治していただきます」

「でっ…でも、彼女は」



そうだ。
私に集中するのではなくヒロインに目を向けて貰おうと思ったが。


「私は害虫は目に入れない事にしています」

「害虫…」


もしかしてイージーモードではなくハードモードだったのか?


入学式一日目にして。
波乱に満ちた学園生活は始まったばかり。


そして愛されるはずのヒロインが嫌われて愛されるはずがない悪役令嬢が愛されるって。


もしかして悪役令嬢ルートだったの?
そんなルートおぼえがなかったのだけど、これってまずいわ。


限りなくマズイ。


ヒロインがハッピーエンドならないと。


後で部屋に籠って対策を考えないと!


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