捨てられた召喚士は人外に寵愛され過ぎている

ユウ

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11.とあるパーティーメンバー

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その頃、とあるパーティーメンバーは森の中で遭難していた。


「クソ、姫様は何処に」

「私が悪いんです。少し目を離した隙に…かくなる上は…」

「あああ!ちょっと何やってんだこの馬鹿!」


連日の遭難で疲労困憊になり、食料もなくなり精神的にも限界だった。
その上護衛すべき人物とはぐれて最悪な状況だった。


「貴方が首を吊ろうが、公開処刑になろうがこの際どうでもよくてよ」

「ヒドッ!アンタどんだけ酷いのよ!」

クールな口調で言い放つ一人の女性に傍で仲間の自殺を止める似たような年齢の女性が咎める。

「自分の責任を放棄しえ逃げる様な方は知りませんわ」

「うっ…」

「私でしたらそんな男に詫びられても鬱陶しいですわね」


言っていることは間違っていないが言い方がある。
既に負いつい目られているのに優しい言葉をかけるどころか援護射撃のような真似をすれば追い詰められた人間が選ぶのは一つ。


「やっぱり死にますぅー!!」

「わぁぁ!止めろチョップ!」


他のな仲間も必死で止める中、強い魔力を感じる。


「おい、魔獣が近づいてくるぞ」

「何ですって、この非常時に…もしやゴーレム?」


「グリフォンよ」

「「「えええ!」」」

僧侶の一人が告げると一同は悲鳴を上げる。

「この状態でグリフォンですって?私達に死ねと?」

「だから言い方!」

「言い方もくそもありませんわ!猛獣のグリフォンですわよ!貴方のようなにわか勇者が勝てるはずないでしょ!」

「泣いていい?」


ここまで酷い事を言われたら泣いて良いかとも思ったが泣いている暇はない。


「とにかく、魔法で…」

「もう魔力がゼロだ」


「この馬鹿魔導士!!」

傍で真っ青な表情をする魔導士に女性陣は睨む。


「クリスティーナ!何とかしてくれ!君の光魔法で…」

「グリフォンにそんなもの効きますか!」

中級レベルの魔獣ならともかく、グリフォンやワインバーンには効き目はない。


「くっ…こんな時に!」

「私達は大事な任務があるのに…薬草を持ち帰り、国王陛下の病を治すと言う大役が!」


彼等は国を代表して集められたパーティーメンバーだった。
大切な任務を耐えられ命がけの度に出て来ていたが、もうこれまでだと思った。


「せめて姫様だけでも見つけなくては。あの方は我が国の最後の希望なのです」

「そうしたいけど…姫様を見つけ出す前に、私達が食い殺される未来しか見えないわよ」


真上を飛んでいるグリフォンは今か、今かと狙っているように見える。


「いや、おかしくないか」

「何ですの?へなちょこ勇者」

「へなちょこ言うな…じゃなくて、グリフォンは襲ってこないぞ」


最初こそは驚いたが、まったく襲ってくるように見えなかった。


「皆さーん!」

「姫様ぁ!」


よく見るとグリフォンの背中に乗って手を振っているのは、彼等が探していた人物だった。

「あの…気の所為かな?リーゼともう一人誰か乗って…」

「ええ、どういうことかしら」


一同はポカーンとする中、グリフォンはそのまま着地した。


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