捨てられた召喚士は人外に寵愛され過ぎている

ユウ

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10.伝説の獣

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通常、聖獣等は魔獣に近しい存在だが、知能が高いので完全な服従はできない。


グリフォン等も同じで、特に彼等は気位が高く荒れくれ者だった。
契約したと見せかけて契約者を食い殺すことだって無きにしも非ずなのが暗黙の了解だった。


「アルト様はすごい方だったんですね」

「いや、違うよ?グリコは勝手に住み着いていただけだし」

「はい?」


元は領地に住み着いていた。
その後、アルトがお世話をするようになって着いてくるようになった。

「少し気難しいけど、ちゃんとお願いをしたら背に乗せてくれるよ」

「背に!」


「うん」


気分やなグリフォンは機嫌が悪いと召喚にも応じてくれず、これまで戦闘の時も召喚してもすぐに杖に戻ってしまう事が多かった。

その所為でローガスに怒鳴られたことは何度かあったのだ。

『おい小僧、何だ、このへんちくりんな小娘は』

「しゃべった!」

『ハッ、我をその辺の雑魚と同じにする出ないわ。高貴なるグリフォンぞ?ちなみに大好物はプリンだ』

「プリン…」


見た目に反して随分と庶民的で甘党なのだと知る。


「プリンはないからクッキーでお願いします」

『仕方ない、後払いで許してやる。後でちゃんとサクランボを乗せるのだぞ?』

「はい」


「サクランボ…グリフォンが」


伝説の猛獣と呼ばれた魔獣の知りたくなかった新事実を知ってショックを受けるリーゼロッテはだったが、いきなり体がふわりと浮いた。

「わっ!」

「じゃあ、行きますよ」

「はっ…はい」


アルトにお姫様抱っこをされて真っ赤になる。

『小娘が…10年早い』


傍で見ていたグリフォンがさりげなく嫌味を言うが、リーゼロッテは既にアルトに見惚れていたので聞こえていない。


「アルト様…」


まだまだ幼いリーゼロッテは純情可憐なお年頃。
危ない所を助けてもらい、傷の手当てをされ、仲間の所まで送り届けてくれる親切な人がいたら好意を抱くなという方が無理である。

あげく相手はなんの見返りも求めないとくれば本格的にまずい。


『おい馬鹿者、こんな小娘を誘惑して後々面倒なことになったらどうするのだ』

「え?」

『まったくの愚か者めが』


アルトはまったく理解していないのか困惑した表情をするだけだった。
腕の中ではポーっとした表情になりながらもしっかりとアルトの首にしがみ付くリーゼロッテにグリフォンは米神ヒクヒクとさせていた。


『行くぞ』

呆れながらも二人が背に乗っているのを確認し。
ハチも呆れながらも、合図を送り、地面を蹴り空を舞った。



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