捨てられた召喚士は人外に寵愛され過ぎている

ユウ

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5.恩返し

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ダンジョンの奥深くにある村。

そこは人が侵入することができない場所だった。


「ドワーフの里?」


「そうじゃ、名前を言っていなかったがワシは長のドクターじゃ。こっちはグランピーじゃ。お前が助けてくれたのは仲間の一人のハッピーじゃ」


「小僧…」


あの時アルトが助けた老人だった。


「お前が預けてくれた魔獣のおかけで無事に帰って来ることができた。貴重な食料までも別けてくれたようじゃな。感謝する」

「いえ、そんな…」

「しかし、ワシ等がお前を見つけた時は洞窟に捨てられていたようだったな…後、変な人間が森に入って来ていたな」


変な人間なんて言うまでもなく元仲間だった。


「僕はアルトと申します。さっきまでは明けの砂漠というパーティーチームのメンバーでした」

「冒険家だったのか」

「はい」



アルトは明けの砂漠というなの冒険者のメンバーとして行動していた。
とはいっても荷物持ちや雑用係に食料調達をする雑用ばかりを押し付けられていた。


後は森に入った時にナビをしたり、野宿するさいに魔獣を寄ってこないように手持ちの使い魔を使って安全を確保する程度だった。


だが、戦えないアルトはメンバーの中でお荷物だった。
そして最後は捨てられてしまったのだ。


「屑じゃ」

「「「公開処刑じゃ!」」」


ドワーフは揃いも揃って告げた。
彼等は別に人間が特別好きでも好意的でもないが、仲間を売るような真似はしない。

特にここにいるドワーフ達は年配だったので若い者を達を守っていた。

だからなのか余計に許せなかった。
まだ幼さの残るアルトは守られて当然の年齢で、庇護されるべきなのに、あんまりではないかと思った。

「あげく魔獣を売るだと!何様じゃ!」

「ドク!せめて魔獣を取り返してやれんか?」

「え?できるんですか!」


杖を奪われてしまった状態では召喚術が使えない。


「お前は召喚士と言ったが、服従の首輪を使っておらぬだろう?傍にいる白狼がいい例じゃ」

「え?」

「通常、魔獣を従わせるには、服従させるじゃろ?」

「はい…でも」


魔獣を服従させることが出来ないアルトは出来損ないだった。
何度も言われて、苦肉の策として服従の首輪を使うことも進められたが、服従の首輪は魔獣の自由を縛り付け、最悪の場合魔獣の命をも奪うことがあった。


「だが、そんな道具を使う者は無能で魔力もない出来損ないのすることじゃ」

「あっ、あの…」

「だが、真の魔獣使いや召喚士に精霊使いは真の絆を持ち、本当の契約をする」


ドクターの言う本当の契約とはどう言う意味なのだろうか?
アルトは首をかしげながらも考え込んでいた。




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