百姓貴族はお呼びじゃないと言われ婚約破棄をされて追放されたので隣国で農業しながら幸せになります!

ユウ

文字の大きさ
上 下
104 / 123

78思いはここに

しおりを挟む




「アレクありがとう」

もう悲しまないで欲しい。
優しいパパはきっと許してくれるし、ここでもノエル様に祈ることはできるのだから。


「お嬢ちゃん、心配はいらん。領地を切り離す方法はある」

「え?」

「あの国は既に精霊の加護はないに等しい。ならば領地を切り取ることは可能だ。風魔法と転移魔法を利用すれば…まぁ、一部ではあるが」

「だとしてもあれだけの大きな領地の一部だけだが…王太子として私も責任があるからね」


すべてとはいかなくても一部だけならこの国に移動させることができると言われる。


「いいんですか」

「言いも何も、君はこれまで十二分の働きをしてきた。この程度のことは当然だ」

「本来ならあの国を灰にしてやりたいが…」

隣で物騒な事を言うのは止めて欲しいのに、何故か身の丈ほどの金槌を取り出していた。


「まぁ料理するのはじわじわといかなくてはな?」

「そうですよ陛下」


見なかったことにしよう。


「だが、その前に手紙を出すか」


「ええ、そうですね」


陛下と王妃様が何も言わずにというわけにはいかないと考え先に手紙を出すことを告げ、私が生きていることも伝えるべきだとのことだ。


「本来貴女の財産を勝手に自分のモノにするのは法律違反です」

「王妃よ。あの国で既に法律は意味はない」

「でしょうけど、こちらはあくまで正当な手続きをしたと主張しなくては」


後から問題になると言うことか。
こちらはあくまで正当な方法で出たとなれば文句を言えないだろうと思った私は…



馬鹿だった。



一週間後、手紙の返事が返って来た。


「アンリ、領地は強制的に奪還だ」


「えーっと…」


「何を勘違いしたのか、あの馬鹿共は遺産は既にこちらが引き継いだ。代わりに住まわせた領地がある。尚且つ僅かな時間でも滞在した費用が発生すると」


「私は身一つで寒空に放り出されました…しかもその後は」


「ああ、馬鹿だろ。そんな主張が通るわけがない。強制的に領地は転移魔法で移動させた」


「ありがとう」

「だが、度々手紙が届いているようだ…しかも都合のいい言葉を並べてだ」


渡された手紙では、不慮の事故で死んだ私を責めるような内容だ。
恩知らずだと罵倒する言葉もある。


これまで受けた恩を返し国に帰るようにとのことだ。


「燃やしていい」

「一応証拠として残すべきだ」


本当に何所までも図々しい!


しおりを挟む
感想 60

あなたにおすすめの小説

ハーレムエンドを迎えましたが、ヒロインは誰を選ぶんでしょうね?

榎夜
恋愛
乙女ゲーム『青の貴族達』はハーレムエンドを迎えました。 じゃあ、その後のヒロイン達はどうなるんでしょうね?

家の全仕事を請け負っていた私ですが「無能はいらない!」と追放されました。

水垣するめ
恋愛
主人公のミア・スコットは幼い頃から家の仕事をさせられていた。 兄と妹が優秀すぎたため、ミアは「無能」とレッテルが貼られていた。 しかし幼い頃から仕事を行ってきたミアは仕事の腕が鍛えられ、とても優秀になっていた。 それは公爵家の仕事を一人で回せるくらいに。 だが最初からミアを見下している両親や兄と妹はそれには気づかない。 そしてある日、とうとうミアを家から追い出してしまう。 自由になったミアは人生を謳歌し始める。 それと対象的に、ミアを追放したスコット家は仕事が回らなくなり没落していく……。

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

【完結】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と言っていた婚約者と婚約破棄したいだけだったのに、なぜか聖女になってしまいました

As-me.com
恋愛
完結しました。  とある日、偶然にも婚約者が「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」とお友達に楽しそうに宣言するのを聞いてしまいました。  例え2番目でもちゃんと愛しているから結婚にはなんの問題も無いとおっしゃっていますが……そんな婚約者様がとんでもない問題児だと発覚します。  なんてことでしょう。愛も無い、信頼も無い、領地にメリットも無い。そんな無い無い尽くしの婚約者様と結婚しても幸せになれる気がしません。  ねぇ、婚約者様。私はあなたと結婚なんてしたくありませんわ。絶対婚約破棄しますから!  あなたはあなたで、1番好きな人と結婚してくださいな。 ※この作品は『「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。 』を書き直しています。内容はほぼ一緒ですが、細かい設定や登場人物の性格などを書き直す予定です。

夫の妹に財産を勝手に使われているらしいので、第三王子に全財産を寄付してみた

今川幸乃
恋愛
ローザン公爵家の跡継ぎオリバーの元に嫁いだレイラは若くして父が死んだため、実家の財産をすでにある程度相続していた。 レイラとオリバーは穏やかな新婚生活を送っていたが、なぜかオリバーは妹のエミリーが欲しがるものを何でも買ってあげている。 不審に思ったレイラが調べてみると、何とオリバーはレイラの財産を勝手に売り払ってそのお金でエミリーの欲しいものを買っていた。 レイラは実家を継いだ兄に相談し、自分に敵対する者には容赦しない”冷血王子”と恐れられるクルス第三王子に全財産を寄付することにする。 それでもオリバーはレイラの財産でエミリーに物を買い与え続けたが、自分に寄付された財産を勝手に売り払われたクルスは激怒し…… ※短め

わたしはくじ引きで選ばれたにすぎない婚約者だったらしい

よーこ
恋愛
特に美しくもなく、賢くもなく、家柄はそこそこでしかない伯爵令嬢リリアーナは、婚約後六年経ったある日、婚約者である大好きな第二王子に自分が未来の王子妃として選ばれた理由を尋ねてみた。 王子の答えはこうだった。 「くじで引いた紙にリリアーナの名前が書かれていたから」 え、わたし、そんな取るに足らない存在でしかなかったの?! 思い出してみれば、今まで王子に「好きだ」みたいなことを言われたことがない。 ショックを受けたリリアーナは……。

傷物にされた私は幸せを掴む

コトミ
恋愛
エミリア・フィナリーは子爵家の二人姉妹の姉で、妹のために我慢していた。両親は真面目でおとなしいエミリアよりも、明るくて可愛い双子の妹である次女のミアを溺愛していた。そんな中でもエミリアは長女のために子爵家の婿取りをしなくてはいけなかったために、同じく子爵家の次男との婚約が決まっていた。その子爵家の次男はルイと言い、エミリアにはとても優しくしていた。顔も良くて、エミリアは少し自慢に思っていた。エミリアが十七になり、結婚も近くなってきた冬の日に事件が起き、大きな傷を負う事になる。 (ここまで読んでいただきありがとうございます。妹ざまあ、展開です。本編も読んでいただけると嬉しいです)

【完結】妹に全部奪われたので、公爵令息は私がもらってもいいですよね。

曽根原ツタ
恋愛
 ルサレテには完璧な妹ペトロニラがいた。彼女は勉強ができて刺繍も上手。美しくて、優しい、皆からの人気者だった。  ある日、ルサレテが公爵令息と話しただけで彼女の嫉妬を買い、階段から突き落とされる。咄嗟にペトロニラの腕を掴んだため、ふたり一緒に転落した。  その後ペトロニラは、階段から突き落とそうとしたのはルサレテだと嘘をつき、婚約者と家族を奪い、意地悪な姉に仕立てた。  ルサレテは、妹に全てを奪われたが、妹が慕う公爵令息を味方にすることを決意して……?  

処理中です...