百姓貴族はお呼びじゃないと言われ婚約破棄をされて追放されたので隣国で農業しながら幸せになります!

ユウ

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41悪夢の中で①

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私は誰かの為にじゃなくて私自身の為にする。


「もう一度問う、そなたに覚悟はあるか」

「はい」


これまで私はどんなことがあっても自分の決めた道に責任を持って来た。

「折り合いをつけて自分の信じた道を進んできました。だから今度も」


私が選んだ道なんだから。


「ならば行くがよい。この先に待っているのは絶望か希望か」


また視界が暗くなる。




そして次に目覚めた時は真っ暗な世界だった。


「ここは何所?」


海の中のようだった。
息苦しくて重苦しい。



「女神様は何所?」


当たりを見渡しても光が見えない。


「汚らわしい」

「え?」

誰かの声が聞こえた。


「貴様も一緒に死ねばよかったのに」


私を蔑むような声。


「本当になんて役立たずなの」

「生きている価値もない」


この声は…



「ギョーム」


私の目の前に現れたのはギョームに元姑や舅だった。


「一人生き残って目障りな」

「一緒に死んでくれれば良かったのに」


私を邪魔呼ばわりするギョーム。


よく見ると私の体が小さくなっている。


これは…夢?


そう思う中、胸が痛くなる。
体が身動きが取れない。



「何でお前は加護がないんだ!領地がなければ誰がお前なんか」


「ぶどう畑さえなかったら誰が…」

「我が家の疫病神…貴族にもなれない癖に」


罵倒を続けられ私は動けない。
何かが体を縛っていることに気づく。


「うっ!」


胸に何かが刺さるような痛みを感じた。


「胸に刺さっているのは針?」


体は黒いツルに拘束され動けないでいる。
三人は私を嘲笑い罵倒を浴びせる中、今度は別の人が現れた。


「あんなのが領主だなんて」

「この先不安しかない」

「最低な領主だ」



領民の皆だった。


幼い頃から私を蔑んだ目で見ているのは知っていた。
領地を拡大することばかり言う彼らに私は難色を示したが、彼らは領地代行を理解していないと言われ、領民が困らないように作物を育てた。

増税にならないように進言しても。


「所詮は百姓か」


「百姓貴族だなんて」



何一つ喜ばれなかった。
作物で領地が潤ってもお金稼ぎにならず、冷たい目で見られた。


加護のない貴族令嬢は価値がない。
美しくない私は愛されない。


嫌という程思い知らされた。


その一方で。


「薬草をもっと…」

「税を安くしてください」


私に対する要望は日増しに酷くなる一方だった。


できることはした。
でも、できないことがあれば決まって彼らはこういうのだ。


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