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21雛鳥

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寒い季節であるが景色は美しく中々の風流だ。


「美味い…本当に。フリッタに似ているが、こっちの方が美味いな」


丁度良い場所に岩塩を見つけたのでわかさぎの天ぷらにかけたけど中々の良さだ。
でも道中に岩塩の岩を見つけるなんて幸運だわ。

そうだ、他の料理にも使えるから収納しよう。


「美味しい?」

「ワン!」

犬用は天ぷらじゃなくて潰してつみれにした。
勿論塩分控えめにしたのだけど、じーっと私達のご飯を見る。


「これは塩分があるから」

「クゥーン」

「そんな目をしても…ああ!」


私のお皿の天ぷらに飛びつく。


「大丈夫だろ」

「でも犬じゃ…」


あ、魔獣なんだっけ?
なら大丈夫なのかな?


「あれ?少し大きくなってない?」

「確実に大きくなっているな」


私の見間違いかと思ったけどそうではなかったようだ。
特に柴ちゃんの方は尻尾が前よりもモフモフになっているし、シェパードの方も体が大きくなったような。


耳も大きくなっている。



「君達、大きくなるの早くない?」

「アンリ、違うぞ…それは」

「あ、魔獣だから成長が早いのか。なるほどワールド」

「そうじゃなくてだな…」



まぁ、気にしても仕方ない。
魔獣は神秘な存在だから、私達の常識で図ることはできないのだから。


「ワン!」

「君達、本当に可愛いね。私、犬大好きなんだよね」


私は動物は種類問わず好きだけど特に犬が大好きだ。



「たくさん食べて大きくなるんだよ」


「ワン!」

「ワンワン!」


こうしていると不思議だな。
私の言葉を理解しているようにも見えるのだ。


「さてとこの子も温めないとね」


「アンリ、その卵…持って来たのか」

「うん」


当初は食べる予定だったけど食用じゃないと聞いたのでちゃんと雛になるようにしたい。


「運が良ければこの子に卵を産んでもらいたいからね!」


「鶏じゃないと思うんだが」

「鶏じゃなくても食べられる卵を産んでくれればいいよ」



白蛇君がくれた卵を大事に温めて雛になったら親になろう。
そしてゆくゆくは卵を沢山産んでもらおう。


「はわわ…」

「バジリスクかコカトリスでないことを祈るよ」


私は魔物に詳しくない。
アレクの言う鳥類はどんな種族なんだろうか。



「早く出ておいで」

「そう簡単に…おい、卵が動いていないか?」

「本当だ」


卵がプルプルしている。
もしかしてもうすぐ卵から…


期待を込めていると卵のてっぺんから嘴が出て来た。


「ピー!」

「わぁ…生まれた」


小さな手乗りサイズだ。
シマエナガみたいですごく可愛いけど、やっぱ魔鳥からなのか思っていたよりもモコモコだった。


生まれたての雛よりも少し成長しているようだ。



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