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19旅は道連れ
しおりを挟む私がこの地を離れる間はノーム達にお留守番をお願いした。
「ご飯は作り置きがあるから。後はお願いします」
深々と頭を下げてお願いをすると全員親指を突き上げる。
「なんとも異様な光景だ」
「いいのよ。皆なういから」
「なう…」
まずいわ。
この世界ではなういと表現を知らないな。
「現代的って意味よ。今時のお爺さんはこうでなくちゃ」
「そうか。君は世間知らずというわけには色々知ってるんだな」
ごめんアレク。
私は前世でも世間ずれは否めない。
だってほぼ祖父に育てられて、周りは老人が多いもん。
同年代の子たちには時代錯誤にも限度があるなんて言われたぐらいなんだから。
「後は豊穣の女神様にお祈りをしないと」
「ああ」
「ノエル様、どうか皆をお守りください。ここにいる皆が平和に過ごせますように」
外の情報はあまり入ってこない。
でも王都の人達が万一この地にノームがいると知ればどうする?
その昔は妖精狩りのような真似をした輩がいたと聞く。
あくまで噂だけど、ノームも希少価値が高い種族だし、技術に関しては人間と比べ物にならない。
「彼らが傷つくことがないように。お腹を空かせることがありませんように」
今は作物が豊作だけど、天候に左右される。
天災はどうにもならないのだから。
「大丈夫だアンリ…彼らは絶対に」
「うん」
無事であることを祈りながら私達は出発したのだが…
「なんか、ついてくるぞ」
「本当だ」
歩くこと一時間、私達の後をついてくる影が。
「ワンワン!」
「ワフ!」
二匹の犬が私達の後をこっそりついてきている。
「気づかれないと思っているのか」
「本当、本当…」
「シャー!」
「「は?」」
聞きなれな泣き声。
「白蛇君!」
「君の鍬に何か絡まっていると思ったら…」
まったく気付かなかったわ。
「アレク、全員桃に入るの?」
「いや、あれは片道専用だからな」
「そもそも何で桃?」
何で桃に入っていたのかと思ったが…
「道中食虫植物の魔物に食われたんだ」
「は?」
「あのまま放置された場合俺は桃になっていた…いや桃の栄養分にされていたな」
今更ながらにぞっとした。
私はかなり危険な桃を拾ってしまった。
剣と魔法の世界はハードボイルドだと思ったな。
「普通は桃に振れれば桃に食われるんだがな」
「平気だったんだけど」
「ああ、俺も後から気づいたが普通の桃になっていた」
触ったんだ。
私も怖いもの知らずだけどアレクも対外だな。
まぁ細かいことは気にしても仕方ないので旅を続けることになった。
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