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18お見送りとノームの餞別
しおりを挟む早朝に出発を決めた私達だったが。
何故か見送りに沢山のノームが終結した。
しかも旗を振っている。
「沢山いる」
「こんなにいたのか」
改めて人数を数えたことはなかった。
思えばよく食べるお爺さんたちだと思ったけど交代で食べに来ていたんだ。
「イチロー知ってた?」
ふるふると首を横に振る。
イチロー気づかなかったようだ。
「あの、出迎えありがと…ぶふっ!」
袋で顔を殴られた。
「何で殴るの」
睨みつけられるが元が可愛いお爺ちゃんなのであまり怖くない。
「黙って出ていくな?そんなこと言われても」
「アンリ、君は彼らの言葉が解るのか」
「えっ…まぁ」
アレクが不思議そうな表情をしている。
基本彼らは無口だけど、ちゃんと観察したり身振り手振りで解るわ。
「本当に乱暴なんだから…って、何?」
袋の中を見ると防寒具がぎっしりだった。
「すごい、ノームの付与が施されている」
「え?」
「冒険家の中でも装備品に使われている。特に羽のように軽いコートは魔物から身も守ってくれるんだ。大変貴重な品だ」
「そんなにすごかったの?」
「ああ」
今更に思うけどアレクって物知りだな。
博学と言ってもいいかもしれない。
私が世間知らずなのもあるけど、他国の情報に魔物に関しての知識もすごいわ。
かといって偏見を持つわけでもない。
「アレクってやっぱり貴族?」
「まぁ似たようなものだ…今は違うが」
「え?」
「正確には元だ」
「そうなんだ」
色々事業があるかもしれないから聞かないでおこう。
アレクが言いたいな別だけど。
「私って世間知らずだから。後でお国のマナーを教えてね」
「君は世間知らずじゃないよ…世間知らずというのは贅沢ばかりして自身で何もしない貴族を言うんだ」
「アレクって貴族好きじゃないよね」
「そんなつもりはないが」
気まずそうな表情をしているあたり図星だろう。
でも、今思えばそういう素振りはあった気がするな。
「でもアレク、アレンドール王国に用事があったんじゃない?」
桃に入って流れて来たんだから。
「いや、アレンドール王国に行く必要はなくなった」
「え?」
「君がいるなら用はない」
私がいるなら用はないとどういうことだ?
「では出発をしよう」
「うん」
早く出発をしないといけないのは解るけど、まさか桃に入るのかな?
アレクが流されてきたように。
でもあの桃って一人用だよね?
二人は入るのか?
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