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14神様の贈り物

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白蛇君が巣に帰ってから翌日。


「わぁーすごい。ハーブだ」


庭には一面のラベンダー畑に囲まれ。
他にも沢山のハーブが咲き誇っていたのだった。


「これは…ありえない」

「きっと神様のお恵みだわ」


「いや、アンリ」

「毎日果物や野菜をお供えしてるからお礼にくだったのだわ」


なんて事なのだろうか。
きっと私を守ってくださる豊穣の女神ノエル様のお恵みだわ。


「心から感謝いたします。今日も糧をありがとうございます」


私は祈りを捧げ、朝一番のお供え物におまんじゅを作ったのでお供えした。



「そういえば不思議なことがあるの」

「ん?」

「毎朝お供え物をしているんだけど。お供えしたものが綺麗になくなっているの」


「あー…」


朝にお供えして、昼頃にまたお花を供えようとしたらお供え物がなくなっている。
野生の動物が食べてしまったのだろうか?

それにしては綺麗になくなっている。
お供え物の器も綺麗で野生の動物が食べたとしてもこんなに綺麗に食べるものなのか。


「アレク、やっぱり祠を作るべきかな?」

「祠?」

「えっと…神様を祀る殿舎」

「祭壇があれば十分だ」

この世界の人は神様に対する考えが異なるのかな?
でもパパはちゃんと祭壇を用意して祠も用意していた気がするんだけど。


「君の気持は十分伝わっている…というか、君は相当大地の女神に好かれているな」

「え?」

「俺がここに流されてからというもの、食料に困ったことはない」

「あー…たぶん私が豊穣の女神様の加護をいただいているからかも」

「は?」


豊穣の女神様の加護を得ているからなのか。
私はこれまで不作に合うことはほとんどなく食べ物にはあまり困らなかった。


「豊穣の女神の加護を?」

「うん、いただいているよ」

「ならば、君は聖女の称号を得ているんじゃ」


「聖女?ないない。社交界からも爪はじきにされて婚約者にも愛想を尽かされたぐらいだし」


別に悲しいわけじゃない。
元から貴族令嬢としての資質がなかっただけだ。


「何を言っているんだ…」

「だからありえな…」


「それは違う!」

肩を強く掴まれ驚く。
何時も穏やかに笑っているアレクが怒っているようだった。


「婚約者ならば第三者の悪意から守るべきだ」

「でも、私が上手くできなくて…」

「そんなのいいわけだ!人には得手不得手がある。婚約者ならばフォローすべきだ」


そんな風に考えたことはなかった。
上手くできない私が悪いんだと思っていたし私も諦めていた。


「貴族令嬢の嗜みとは清楚なだけの姫じゃない。民を最後まで守れるか…その覚悟があるかどうかだ!君は人の上に立つ資格がある」

「アレク…それは言い過ぎじゃ」

「お世辞じゃない。君のはカリスマ性もある。懐の深さも…気づかないのは馬鹿だ。見る目がないんだ」


怒ったような表情で言い切るアレクに空いた口が塞がらなかった。




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