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12収穫とカボチャ

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「わぁ、今日もすごい収穫」

「本当だ」


葉のものの野菜だけでなく根菜類の種を蒔いてみたらこの通りだ。

「アンリ、この緑の野菜はなんだ?」

「南瓜」

「なんき?」

「カボチャ」


正確には西洋カボチャじゃなくて日本のカボチャだ。
西洋のものはツルっとしているけど、日本のは長細いか、デコボコしているのが多い。


ちなみに私はデコボコの南瓜が好きだ。

「これ一個丸ごと使おうか」

「使う?」


そう、カボチャの醍醐味と言えばパンプキンスープだ。
前世では丸まる一個を使って中をくりぬいてスープにしていた。




「召し上がれ」


「器になっているのか!すごいボリュームだ」


中身をくりぬき、スープにしてみた。


「これ、後でノームにも持っていこう」

「その必要はないな」

「え?」


振り返るとノームの行列ができていた。
何故か皆さんそろってソリを引いている所を見ると催促だろうか?



「でもあの小さな体格で…まぁいいか」

美味しいものは分け合うべきだ。
ノームも誘ってテーブルを囲みホームパーティーを行った。



ふと、アレクの手が止まった。


「どうしたの?」

「いや…こんなにおいしい食事を兄上にも食べさせたいと思ってな」

「お兄さんがいるの?」

「ああ…病で寝たきりになってしまっているんだ」


暗い表情をするアレク。
普段は明るいからこそ余計に胸が痛んだ。


「重い病に侵されている…今では食事を受け付けないんだ。薬も効かなくては」

「アレクが旅をしていたのは…」

「ああ、兄の為と国の為でもある。俺の祖国の女神様が眠りについてしまったんだ。その所為で国は凍り付いてしまった…両親も倒れてしまった」


女神によって守られる国は多い。
特に長い歴史のある国は、その昔女神が地上に舞い降り国を作ったという神話もある。


アレクの国はきっと地上を守護する女神様の場合、女神様が眠ってしまうと大変なことになる。


水の女神様の場合は海が汚れ、井戸が枯れてしまう恐れがある。



「俺の国では聖花が枯れてしまったんだ」

「せいか?」

「別名女神の花とも呼ばれている。その花が女神様の力の源だ…だが、国には森の加護を持つ者はいない。作物は枯れて雨が降らなくなった…木を伐採しているが」


「木を伐採?それは逆効果よ」

「えっ…そうなのか?」

唖然とするアレク。
一部の人間は木を伐採すれば雨が降ると勘違いをしている。


ある程度木を手入れしないで伐採なんてありえない。


でも学者たちはやたらと自信があるとかで、発表していた。
アレンドール王国の学者も似たようなことをして雨が降ったと自慢していたけど、恐らくは偶然だろう。



「雨を降らせる方法はなくても水を得る方法はあるけど」

「本当か!」


「うん…」



「やっぱり君は俺の女神様だ!」


何故か手を握られた。

そして何故に跪くんだ。

理解ができなかった。



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