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閑話 欲深き者たち③
しおりを挟む突如起きた地震に王宮は大打撃を受けた。
国王と宰相を庇った近衛騎士は命は助かったが足を負傷してしまった。
王宮内だけでなく外でも影響はお呼び、王宮の庭園で地震の所為で火事が起き、庭園は燃えていた。
急いで火を消そうにも、水の魔法を使える魔導士は少ない。
仕えたとしても高度なものではない。
最悪な事に広間ではお茶会を催していたことから、王妃の部屋では火を使っていたので火事になっていた。
急いで火を消そうと水をかけようとする侍女だったが…
通常の炎と違うことに気づいた魔術師が止めようとするも。
「侍女殿!なりません!」
「え?」
炎はさらに悪化し、侍女に襲い掛かった。
「きゃああああ!」
通常焚火程度の火ならば水で消えるが、厨房等の火は油も入っている。
しかも元の火が普通の火ではなかったので水をかけた所為で爆発したのだ。
「これは精霊の炎です」
「だったらすぐに火を…」
「無理です!この火は土属性でないと無理です」
「だったら早く…」
その時になってハッとする。
この国に土属性の魔力を持つ者はいない。
地を司る精霊は人間嫌いで有名で、滅多に人の前に姿を見せない。
故に、土属性の魔物もほとんどいないのだ。
「けれど以前は…」
「我が国で地の魔力を持つのは…」
魔術師は一瞬だけ口を噤んだが、王妃が許さなかった。
「シアリーズ家の人間のみです!」
これまで使えないと侮辱していた一同は言葉を失った。
「そんな…あの使えない小娘が」
「魔術師様!だったらその娘を早く…」
「アンリ嬢は婚約破棄の末に、王都を出て北の大地に向かった。無理だ」
転移魔法を使うにしても距離が遠すぎる。
しかも転移魔法は精霊の力を借りて、転移する側の地に住まう精霊の協力が必要になる。
彼の地はアレンドール王国から切り離された領地だ。
人が住めない僻地だ。
「それに徒歩では時間がかかるでしょうし…彼女は魔力探知機では見つかりません、魔力があってないような人です」
「何所までも役立たずな小娘が…肝心な時に!」
自分達が追放に追いやった癖に、アンリを責め始める。
その間も地震は止まらず、王宮内に飾ってある石像が倒れていく。
「なっ…あれは!」
「陛下の石像」
国王の石像が倒れ木っ端みじんになる。
「なんて不吉な…」
「こんなことって…」
縁起が悪すぎると誰もが恐怖を抱くが、炎に囲まれている者は非難することも敵わず、火が王宮から外に移り、王宮内の王立研究室の毒草が燃えたことで毒は外に漏れだしていく。
「苦しい…ガハッ!」
「助けて…」
毒と煙を吸ってしまった者達は吐血し、倒れる。
その姿はとても酷いもので美しいものが好きな王妃は見るに堪えなかったが、王妃自身も毒を吸ってしまいその場に倒れてしまった。
毒はそのまま王都を包み、悲惨な事件に発展するのだった。
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