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6魔物と共存
しおりを挟む王都から離れた僻地とは、とても不便だった。
物流が滞りなく通る王都とは異なるからだ。
道も整備されていないから、馬車が通ることも少ない。
魔物の出現も多いのだが、その一方で魔物を無暗に排除することで問題が生じる。
王都は便利で人の通りが多い。
その所為で自らリスクを冒していることを理解していない。
貴族達は財を周りに見せつける為に新たな邸を建て替えたり、娯楽のための施設を作ること躊躇しない。
その所為で、大地の女神さまをどれだけ怒らせるか。
また土地を壊すのであればその前に儀式をするのが当然なのだけど、王都の貴族は土地神様を軽んじている。
邸を立てる前にも儀式を行っていない。
だからあちらこちらで地震が起きている。
土地神様だけでなく無暗に高い建物を建てているのも原因であるけど、土地神様の怒りを買ってしまうことは自身の領地を危険にさらすことだけじゃない。
病気になってしまうこともある。
中でも一番恐ろしいのは土地神様を祭っている祠等を勝手に壊したりすると大変なことになる。
故に便利過ぎる町は決していいわけじゃない。
自然を壊して便利になったとしても、自然の恩恵を自ら放棄することだ。
対してこの領地はほとんど人の手が加えられていない。
「井戸もかなり古いし、この領地は理想的だ」
もしかしたらかつては独立した国だったかもしれない。
だって国内とは言えど地図で確認したら既に切り離されている。
こう言ってはなんだけどこの国は過去に戦争で無理やり奪った領地が多い。
元は別の国の領土だったのだけど使い道がいなと解れば放置しているのだから、この地も同じだ。
「国王さんはいつか痛い目にあるだろうな」
こんな粗末な事をしていたら罰が当たる。
年々税金も上げて、平民から搾る込めるだけ絞り込んでいるし。
私が引き継ぐ領地もパパの死と同時に没収され、国の管理に置かれてしまった。
けれどあまりの広さに管理しきれないので手入れをするのは私だけど、取り分はほぼない。
そして現在は私が婚約破棄をされたと同時に権利を奪われてしまった。
せめてもの救いは果物はすべて収穫しているし、ワインになっているから心配ない。
それに、以前から果物園を取り壊すとお役人の人に言われていたので果物は小さくしていた。
だから私は種を残しておいたのだ。
その種が今手元にあるものだ。
「これから美味しい実をつけてね」
そう、この荒れ放題の領地は果物園にはかなり理想的だ。
「どうせなら野菜も欲しいな」
野菜嫌いのギョームの所為で野菜の畑は潰された。
金儲けにならないから高価なメロンやマンゴウを作ったようだけど、失敗に終わった。
私がブドウや桃を作っていたから簡単だと思ったのだろうけど。
果物は本当に難しいんだから。
「桃…食べたいな」
甘い果物が欲しい。
「イチロー、何見ているの?」
ふとイチローが一点の方を見ると川からどんぶらこどんぶらこと桃が流れて来た。
「桃ぉぉぉ!」
私は即座に飛びついた。
巨大な桃を確保すべく私は桃を逃すまいと飛びついたのだった。
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