愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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全てが終わった。
二人の処遇も決まり、王宮に戻って来た。


「これでもう大丈夫だ」

「お兄様…」

「父はもいずれ立ち直る。社交界の噂も別の噂であの二人の事は直ぐ消える」


「別の噂?」

「直ぐに解りますよ」


口ごもるラインハルトに代わりフィディオが誤魔化すようにお茶を差し出す。


「何にせよ、リアンティーヌ様が最後までやらかしてくださいましたね」

「ええ…」


リアンティーヌは自分の手でミレアルを破滅に導く気でいたのだ。
あの時シェリラが動かなくとも、罪人として思い罰を与える為に機会を伺ってた。


「これは間接的に聞いた話なのですが…」

「はい?」


「私達が死んだ後にリアンティーヌ様は自身で真実行きついたそうです。その後の事は」


「なんとなく察しました」



あの行動的なリアンティーヌの事だ。
ガルセア帝国を巻き込むことなくミレアルに報復したはずだ。


「皇帝陛下ですら礼を尽くすお人ですから」

「優しいだけでは生き残れない…聖女と呼ばれたた方の真実ですか」


「私も聖職者の在り方を学ぼうと思います」


慈悲だけでは誰も救えない。
守る側の立場として、フィディオは上手く立ち回る事を覚えなくてはならないと思った。




それから二週間後。
二人の結婚式の準備が整った頃に社交界では他の噂で持ち切りとなった。




「おめでとうございますヴィオレット様!」

「ラインハルト様!おめでとうございます」



社交界ではラインハルトとヴィオレットの婚約話で持ちきりだった。



「他の噂ってこの事だったんですが」


「ええ…まぁ」

「私以外はご存じだったのですか?」

「いえ…まぁ」


知っているのは同盟を結んだ者だけだ。


「前世から戦友だったようですから」

「すごく通じ合っていると思いましたが」


「これも聞いた話なのですが、前世で二人は思い合っていたそうです」

「は?」


初耳だった。
二人からすれば思い合っていながらも叶わない恋をしていたのだ。


「二人は最後まで戦友として手を取り合っていたそうです」

「それは…」


(究極の愛ね)


女王陛下とその直臣として最後まで支えた忠誠心も揺るぎない愛だった。



「まぁ、リシャールも哀れですね」

「最初からお兄様と比べられていたの出れば気の毒です」


幼少期から優秀過ぎたラインハルトとずっと比べられ続けていたリシャールを哀れに思う。



「戦友こそが最高のパートナーと言う事になるでしょうね」

「そうですね」


遠目から見てもお似合いの二人だった。

(どうかお幸せに)


ずっと見守り助けてくれた二人が幸福になるのを心から祈った。



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