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しおりを挟む「最後に聞きたいことがあります」
シェリラはどうしても聞きたい事があった。
ここに来たのは確かめたかった事があったのだから。
「私をどうして憎んだのです」
「何を…」
「貴女は私を養女に迎えたのは望んだから。真実を知らなかったのに…私に対する態度はあまりにも酷い仕打ちだった」
(前世でもそうだった)
シェリラの出生の事実をしたのは婚約して十年後の事だったはずだ。
だけど、物心つく前からミレアルはシェリラに虐待と思われても当然の教育をして来た。
「お祖母様に対しても酷い態度だった」
「ハッ…あの厭味ったらしい老婆と同じ顔をしたアンタは気に入らなかったのよ」
「それだけですか」
「それだけ?私を侮辱したあの女!何の苦労もなく侯爵夫人の嗜みを振りかざし…そしてアンタもあの女と同じだった!だから更生しようとしただけよ」
「更生?自分の思い通りにの間違いでしょ?ミレーヌも哀れだわ」
ミレーヌにされたことを許す事は出来ない。
「アンタに言われたくないわ!全部…全部完璧だった。私は!」
「完璧って何です?」
ミレアルの思い描く幸福は何なのか。
王族の親族になっても、侯爵夫人としての役目を果たす事はミレアルには無理だった。
「私が王太子妃にならかったとして、リシャール様の心をミレーヌが射止めても、貴女は決して王室で生きる道はないわ」
「何ですって…」
「これが結果。社交界で間違った振る舞いしかできない。貴女は何も学ばなかった…重すぎたのよ」
ただ守られて来たミレアルは自分の力で何一つとして行動する事もなかった。
「私は自分の力で幸せになります。貴女のようにはならない。私の母も不幸ではなく幸せだった」
「よくも…」
「私を憎んで、恨んで余生を生きてください。でも私は貴女を憎みません。私は貴女を忘れられないけど、未来に必要ない人だから」
前世での仕打ち。
過去の自分を忘れる事はなく未来を歩むために。
「一人だけ幸せになんてさせないわ!アンタを幸せにはさせない!」
「貴女に何もできませんわ。貴女は島送りになるのですから。そこで今までの事を懺悔してください」
くるりと背を向けるシェリラはその場を離れようとするもミレアルはヒステリックに叫ぶ。
「許さない!お前だけは…お前だけは幸せになるなんて許さない!」
傍にある硝子のコップを床に叩きつける。
「お前だけは!」
割れた破片を握りしめ、ミレアルはシェリラに襲い掛かろうとした。
「お前を殺してやる!」
破片を振りかざしシェリラの殺そうとしたが。
「本当に最低ですわね」
底冷えするような声が聞こえた。
「なっ…何で」
「救いようがない愚か者ですこと」
ここにいるはずがない人物が現れたのだった。
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