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しおりを挟むライオネルが追い出さた数日後。
「久しいな」
「お義父様」
「もう舅ではなくなる。お前とは他人になる」
睨みつける表情をしながら、これまで世話をしていた侍女が荷物を持っていた。
「お前とライオネルの離縁が決まった。勿論、援助は打ち切る」
「は?」
「使用人も引き連れて行く。ただし監視やとして騎士と王宮から見張り役の侍女を派遣してくれるそうだ」
(は?離縁…何言っているの!)
書類には離縁状にサインがされている。
万一同意しなくても可能なようになっている。
「一体どうして」
「お前に話しても無駄だ。本来なら、もっと早い段階で離縁するはずだった。だが、ライオネルがお前を庇った。お前とミレーヌの所為で私の息子は全てを失った貴族でもなくなる」
「貴族ではなくなる…」
「祖父様、何を言っているの?」
「お前には解らんだろう。ただ解るのは、お前の父親は責任を取って僻地に追放される事だけだ」
「何よそれ…お姉様ね!なんて酷いの!」
(もう話すだけ無駄か)
何を言っても他人の所為にしかしない。
「もう良い、全て運んでくれ」
「「「ハッ!」」」
オズワルドが連れて来た使用人は調度品を運び始める。
「何をするの!」
「個々の調度品はすべてノースライナ―の私物だ。この邸からお前達を追い出し使われていない小さな邸に移る。テーブルと椅子はる…今後援助は一切ない」
「じゃあどうなるの!」
「監視対象の間は食事の用意がされるだろう」
「何で…」
「一か月監視され、その後の処遇は王宮から使者により報告される」
「待ってください!」
手を伸ばすもオズワルドは振り返る事もなかった。
「嘘でしょ…」
「お母様!これから私達はどうなるの?嘘よね?お父様は」
(そうよ。ありえないわ!)
ライオネルと離縁が成立したなんて嘘だと思った。
少ししたら迎えに来るに違いない。
(私は悪くないわ…)
しかし数日後、すべての調度品が運び出された後に別の邸に移る事になった。
そこは貴族が暮らすにはあまりにも質素すぎて壁にも皹が入りツタやコケまみれだった。
「ここは…」
「窓に柵が…こんなところ嫌よ!」
ミレーヌは嫌がり逃げようとするも。
「いや!何するの」
「抵抗沙荒れるなら手錠をしますよ。足枷をしたいなら結構ですが」
「足枷ですって!」
二人には拒否権はない。
犯罪者として二人にはお金もないので弁護士を雇う事も出来ず、疎遠の親族は面会に来ることも援助もする事もない。
ミレアルに残ったのは惨めな生活に憎しみだけだった。
そしてその憎しみはすべてシェリラに向ける事で自分は悪くない。
シェリラを悪者に仕立て上げる事で、自分の心を保っていたがミレーヌはそうではなかった。
「お母様!もうこんな暮らしは嫌よ…なんとかして!」
貧しい生活に監視される生活は限界だったが、ミレアルは相手にせず時には二人で罵り合いが続いていた。
そんなある日。
邸の前に立派な馬車が止まった。
「お母様王家の馬車よ!きっとリシャール様よ!」
「何ですって!」
二人はもしかしたらと期待を膨らませたが。
「何で…」
「シェリラ!」
訪れたのは最も憎いと思う人物だった。
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